2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K00399
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂田 克己 前橋工科大学, 工学部, 教授 (90545419)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生物ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト転写因子の発現時系列プロファイルデータから得られた1600個の転写因子を含むシステムワイドな相互抑制型ネットワーク構造について、ヌルクラインと固定点の安定性解析を行った。文献調査の結果、生態系でも転写系の相互抑制構造と類似した形状のヌルクラインが観察されることが分かった。また、固定点の安定性解析および情報エントロピーの遷移解析を行い、転写系と生態系の間で動特性を比較した。この結果は、日本応用数理学会2017年度年会で口頭発表した。
ヒト転写因子ネットワークとダイズ代謝ネットワークにおいて、制御性能の劣化が共通に観察されていた。実験的に得られた転写および代謝の時系列プロファイルを精査したところ、出力を飽和させる(制御工学でいうところの)リミッターと呼ばれる非線形要素の存在が示唆された。フィードバック情報がリミッターで制限される系として遺伝子制御系をモデル化し、相互情報量の変化を数式解析した結果、過度の環境刺激下で情報エントロピーと制御性能の同時劣化が起こることが説明できた。この結果は、The IV International AMMCS Interdisciplinary Conference(国際学会)で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィードバック情報がリミッターで制限される系として遺伝子制御系をモデル化することにより、過度の環境刺激下における情報エントロピーと制御性能の同時劣化が説明できることが明らかになり、モデルの妥当性に見通しが付いた。
また、上記を含む成果の発表を、国際学会1件を含む2件の学会発表(いずれも口頭発表)として実施することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
1~2年目の研究で見通しが得られたモデルの詳細解析および、そのモデルに基づいた詳細なシミュレイションを進め、研究成果を論文あるいは学会にて発表する。
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Causes of Carryover |
(理由) モデル構築と数理的なモデル解析に研究を集中した為、消耗品費等の物品費が予想よりも掛からなかった。また、作業を効率化して、当初予定にあった博士研究員の人件費を削減できた。 (使用計画) 研究成果の論文投稿と国際会議での発表を行う。
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