2016 Fiscal Year Research-status Report
インシリコとモノをつなぐ汎用的双方向シミュレーションフレームワーク開発と実証研究
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16K00410
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
淺井 義之 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00415639)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モデル駆動型制御 / シミュレーション駆動型制御 / 汎用相互作用シミュレータ / フィジオーム / システムバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、外部プロセスと通信を介したデータの授受が可能な汎用的シミュレーション・フレームワークを構築することを目標としている。外部プロセスとしては、他のシミュレーション、ロボット制御系、実験機器制御系などのプロセスを考慮している。シミュレーションは、これまでにフィジオームやシステムバイオロジー分野で開発された生理機能の精密モデルのシミュレーションである。 これまでは計算機上でのシミュレーションのみが目的とされ、プロセス内で閉じていたが、本課題で開発するフレームワークにより、シミュレーションをネットワークを介して他のプロセスと相互連携させることを実現する。これにより、モデル駆動型、あるいはシミュレーション駆動型のロボット制御、実験制御を実現する汎用的フレームワークとなる。 今年度の開発では、まず、モデル記述言語PHMLの仕様を拡張し、モデル内に外部プロセスとの接点を記述することを現実化した。また、我々がこれまでに開発してきたシミュレータFlintを拡張開発し、以下の機能を実装した。1.PHMLの拡張記述を解釈する。2.外部プロセスと通信を開始するとともに、データ通信時の待機等プロセスを管理する。3.プロセス間通信により、シミュレーション中の該当データを外部プロセスへ送信する。4.3と同時に、外部プロセスからデータを受信し、その値をシミュレーション中の計算内容に反映させ、ダイナミックに計算結果を変更する。 この開発機能の性能評価のため、WiFi経由でデータ通信する機能をもち、モーター駆動式車輪を2輪と複数方向に向いた障害物センサーを有するロボットを具体的な操作対象として、実証研究を行った。2変数のダイナミカルシステムとして定式化された数理モデルシミュレーションとロボットとの相互作用が実現でき、障害物を回避するような左右の車輪のモーターのシミュレーション駆動型制御を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに同一ネットワークセグメントにWiFiで接続しているロボットを用いた動作実証まで完了することができた。これまで開発してきたモデル記述系とシミュレーターの基礎設計が優れていたため、今回の開発に必要な変更並びに拡張をスムーズに加えることができたためであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、モデル開発を行うソフトウェアを、今年度行ったモデル記述系の拡張に対応させる必要がある。これにより、外部プロセスと連携することのできる数理モデルの構築をグラフィカルなモデル作成環境により支援することができるようになる。また、シミュレーターと外部プロセスの通信の頑強性の向上、速度の向上、通信の安定性の向上など、相互作用する計算プロセスの安定性を向上させる。 さらに、現在は同一ネットワークセグメント内に存在するプロセス間通信を行っているが、セグメントを超えた通信を考慮する。この場合、通信によるデータ授受の時間遅延が発生するため、この遅延が引き起こす問題を最小限にとどめるための工夫を考案する。
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Research Products
(5 results)