2016 Fiscal Year Research-status Report
学校図書館における電子書籍利用環境構築のための実証的研究
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16K00443
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
植村 八潮 専修大学, 文学部, 教授 (50646304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 武悟 専修大学, 文学部, 教授 (80439520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学校図書館 / 電子書籍 / 図書館基幹システム / 図書館ネットワーク / インターネットの接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学校図書館において導入可能な電子書籍の利用環境構築のモデルを提示することを目的とする。そのためには、電子書籍が円滑に学校および学校図書館に導入できる環境(システム)の構築が不可欠である。研究計画における背景を振り返ってみると、デジタル教科書の検討が進んでおり、電子書籍への関心も高まってきている。しかしながら、学校内における電子書籍の取り扱い環境やシステムについては、十分な検討はなされていない。 そこで、初年度では学校図書館とベンダー(事業者)を対象に調査を行い、学校図書館における図書館基幹システムと利用インターフェースについて、現状と課題を明らかにした。まず、学校図書館における図書館基幹システムの導入やその運用状況に注目し、学校図書館業務の情報化の状況を調査し、現状を明らかにした。 具体的には、全国の学校図書館に対してアンケート調査とヒヤリング調査を実施した。アンケートを設計する段階で、システムベンダーの協力を得た。アンケート調査は、全国の小・中・高等学校1086校(小学校624校、中学校314校、高等学校148校)に郵送で依頼し、同封した返信用封筒もしくはFAXにて回答を得た。調査期間は、2016年8月から10月である。アンケート調査とヒヤリング調査から、学校図書館における図書館基幹システムの導入率は全体で7割、特に、高等学校においては9割であることが分かった。 最も大きな課題は、図書館基幹システムが導入されていても、そのシステムがインターネットに接続できない学校が少なくないことである。このままでは公共図書館と学校図書館の総合目録データベースの整備といった図書館ネットワークの構築と運用、さらには今後、学校図書館でのクラウドサーバー型電子書籍システムの導入に向けて、障壁となることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では学校図書館における図書館基幹システムと利用インターフェースについて、現状と課題を明らかにすることを予定とした。そのため、学校図書館における図書館基幹システムの導入やその運用状況に注目し、学校図書館業務の情報化の状況を調査する計画とした。当初の予定通り、アンケート調査とヒヤリング調査を行った。調査対象校は、全国学校図書館協議会が毎年行っている「学校図書館調査」の学校抽出方法を参考に抽出し、ほぼ同規模で行うことができた。 1086校中275校から回答があり、回収率は25.3%だった。その内訳は、小学校624校中169校(27.0%)、中学校314校中67校(21.3%)、高等学校148校中39校(26.3%)である。さらに、アンケート調査の回答内容を補足する目的で、アンケート調査に回答のあった各校のうち、小学校3校、中学校2校、高等学校2校、中高一貫校1校に対して、ヒヤリング調査を行った。調査は2016年10月から11月に実施した。 図書館基幹システムを導入していない学校に対して、今後、システムを導入する上での課題として、「システムの導入、運用に充てる予算が少ない」、「電子機器の設置設備が不十分である」、「電子機器、システムに関する知識やスキルが不足している」などを課題とする学校が多かった。 なお、システムベンダーに対しての調査では、詳しいシステムインターフェースの確認を手がけるには至らなかった。2年目の追加調査課題として残った。一方、今後の取り組みとして予定していた、公共図書館向け電子書籍システムをベースとしたインハウス(クライアントサーバ)型とクラウドコンピューティング型の2タイプのモデルについては、予備的検討を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
システムベンダーに対しての調査として、システムインターフェースの詳しい確認が残されたことを別にすれば、初年度は、ほぼ当初の予定通り進捗した。そこで29年度以降では、システムインターフェースの調査に加え、学校図書館において導入しやすく、かつ図書館基幹システムとも連携可能な電子書籍システムのモデルを検討し開発する。その際、学校の校種(小・中・高校、特別支援学校)や規模(小規模校~大規模校)、設置母体(国公私立)などの多様性も勘案し、具体的には、既に実績のある公共図書館向け電子書籍システムをベースとして開発することとした。現状、運用実績のある電子書籍システムには、インハウス(クライアントサーバ)型とクラウドコンピューティング型に加え、電子書籍専用端末を用いたスタンドアロン型の3タイプがある。29年度には、これらのモデルを検討することにした。 さらに、開発した電子書籍システムのモデルを複数の学校図書館の協力を得て、実証的に検討し、最終提案を行うこととする。
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Causes of Carryover |
学校図書館向けシステムベンダーのうち、有力な一社は、研究協力の内諾を得ている一般社団法人電子出版制作・流通協議会に加盟するベンダーであり、毎月の定例会議に出席していた。このため、当初予定していた、国内調査出張(2箇所、各3日間、2名分)について、次年度に繰り越すこととした。 また、アンケート集計やウェブサイト構築のためのノートパソコン購入も次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内調査出張調査については、8月に一カ所、2日間、2名で実施予定である。さらにもう一カ所、計画中である。 ノートパソコンは、29年度に購入予定であるが、システム開発費の状況を勘案する。
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Research Products
(3 results)