2017 Fiscal Year Research-status Report
プレスリリースの効果的発信の要因に関する定量的調査研究
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16K00455
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
西澤 正己 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00281585)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大学 / 研究成果 / 報道 / 学術論文 / プレスリリース / 新聞 / オルトメトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は2011年から2014年の間に大学関連機関から発行されたプレスリリースの元になった学術論文について、投稿された学術雑誌のDOIを特定した。このことによりこれらの論文について、Altmetrics Attention Score(AAS)やClerivate Analyticsからの被引用数の抽出も可能となった。また、これらの時期に関してプレスリリースに対応して掲載された、毎日新聞と読売新聞の記事の特定も行った。2011年、2013年、2014年のデータに関してはこれからの発表となるが、2012年のデータに関しては情報知識学会やCOLLNET2017国際会議に投稿、発表を行っている。 この結果、2012年のデータでは、一部のDOIに関しては、Altmetric.comからデータが得られなかったが、特定DOI:464件中約84%の391件のAASデータを得た。これより、新聞掲載されたプレスリリースの原論文のAASの分布は、特定された全体よりもやや高いことがわかった。それぞれの分布の平均値はリニアスケールで、全体で20.4、新聞掲載されたもので29.5である。対数の平均ではそれぞれ、0.703と0.974になる。全体の新聞掲載率は24.3%であるが、AASの小さい部分では平均より掲載率は低く、log10(AAS)で0.5以上の階級で平均値を上回っていることがわかった。 現時点では2012年のデータのみの分析であるが、学術研究のプレスリリースの原論文のAASと新聞の掲載との間には相関は見られる。これは新聞記者の選択と、ソーシャルメディア上の注目には相関がある可能性があるが、新聞掲載のために注目度が上がる可能性もあるので、発表後の時間変化や、他の年次のデータ分析を含めた詳細な分析が必要であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレス発表する成果と実際に報道されている研究成果の差異の要因を定量分析するためには、関係する要因を正確に見つける必要がある。このために、プレスリリースとの関連なく報道されたものを含め、新聞中の学術関連記事全体の抽出を行う必要がある。科学欄のフィーチャー記事抽出は容易であるが、ニュース記事は多種多様な面に掲載されており、新聞の記事分類だけでは抽出不可能なため、このことを進めていく必要がある。 新聞報道の要因については、大きく分けて(A)発表側の要因、(B)報道側の要因、(C)外部環境、に分けることができる。初年度の調査・分析は(B)の報道側の要因を中心に開始し、(A)に関しても取り組んでいく予定であった。 新聞中の学術関連記事全体の抽出に関しては、これまでプレスリリースと関連した報道を抽出しているので、それらの記事からキーワードを抽出し、学術成果の報告に関連するキーワードを選び、そのキーワードに対して、関連度の高い記事を抽出する試みを始めている。概ね良好な結果は得られているが、キーワードの選択や、指標の最適化を今後さらに進めていく。 (A)発表側の要因、(B)の報道側の要因の分析に関しては、原論文の発表形態、AASや被引用数、雑誌のIF等の学術指標との関連、分野関連に等について分析し、学会、国際会議に発表している。さらに、Altmetrics等ソーシャルメディアとの関係等についても分析を進め、学会、国際会議への發表を予定している。(C)に関しては2014年のSTAP細胞に関する研究不正の影響を調査しており、今後学術雑誌、学会で発表を予定している。全体的には、概ね順調な進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は(A)発表側の要因、 (C)外部環境、を中心に、(B)の報道側の要因の残りの部分を進めていく。 (A) 発表側の要因としては、(1)研究等の分野、(2)基礎研究、応用研究、開発、臨床、調査等の違い、(3)国際共同研究、国内共同研究や産学連携等の発表機関の構成、(4)原論文等の発表先(学術雑誌、国際会議、学会発表、特許等)、(5)プレスリリースの発表形態、(6)プレスリリースの構成・書き方等、が挙げられる。(5)に関しては日経プレスリリースに載らないプレスリリースも確認されているので、各機関のホームページ上のプレスリリースの取得(研究補助要員)も行い、比較とともに、出来るだけ多くのプレスリリースの取得に努力する。(2)(5)(6)以外はこれまでの研究で情報を抽出できているのでこれ以外の要因の把握とともに早期に分析対象のデータを得る手法は確立できるものと考える。 (C) 外部要因としては、(1)報道側の記事全体の大きさにも関連するが、他の大きな事件、事故、災害等により科学記事に割く紙面が無くなる可能性がある。このことは、STAP細胞の研究不正事件の影響は大きく影響を及ぼしているという結果が見えてきている。また、(2)発表側の要因とも関連するが、プレスリリースの集中、発表の自粛等による影響も考えられる。さらに(3)学術賞の受賞等で社会全体が興味を持っている分野の潮流の影響も考えられる。(1)に関しては、号外の抽出、1面や社会面の特定の記事の大きさ等に注目して指標を開発していく。(2)に関しては、日経プレスリリース以外のプレスリリースの取得により集中度を測る。(3)に関しては新聞等メディアの学術記事の分野の時系列分析、学術賞の状況、外部のトレンドを扱う記事等から該当期間の傾向を指標化していく。これらの点を中心に平成30年度を進めていき、要因の分析等まとめを行っていく。
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Causes of Carryover |
(理由):日系テレコン利用料の予定が、計画よりやや少なかったため、8412円の余りが生じた。 (使用計画):調査上必要になる新聞記事本文データやプレスリリース本文データの購入のために次年度の使用分に充当する。
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Research Products
(3 results)