2017 Fiscal Year Research-status Report
2010年代における外国人留学生のメディア利用と異文化適応についての研究
Project/Area Number |
16K00459
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 隆志 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60264967)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 幹夫 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (30293244)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 留学生 / 異文化適応 / メディア環境 / SNS |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は、アンケート調査の集計と研究発表を行った。新潟大学の留学生、並びに28年度中に協力依頼を行った2つの大学(九州大学留学生センター 郭 俊海先生、埼玉大学国際企画室 中本進一先生)から得たアンケート結果を基に分析を行い、その中間的成果の発表を行った。代表者と分担者の勤務校である新潟大学の留学生センターはもちろんのこと、他大学の両先生、ならびに留学生対応の事務方の人々に大変お世話になり、アンケート用紙の配布から、回答、回収までをスムーズに行うことが可能となった。感謝申し上げる次第である。 2017年社会情報学会(SSI) 学会大会(2017年9月16-17日、駒澤大学)において、研究発表(「2010年代の外国人留学生のSNS利用、ニュース視聴、異文化適応」)を行い、活発な議論を行った。統計の取り方や、日本と他のアジア諸国の人々のSNSの利用実態の差、留学生が置かれているメディア環境と日常的慣行の違いなどが議題となり、留学生のメディア利用と彼(女)らの適応状態に関する総合的な理解が深化する場となった。 3大学においてアンケート結果については、立案時の当初予測通りの部分もあったが、一方で、予想を覆す結果が多分に含まれていたため、分析方法を見直す必要性に迫られており、現在もその方法論を検討中である。当初の留学生の適応モデルに即して立案した予測が、不備にいたった原因をつきとめるべく、現在、留学生に対するインタビューをさらに綿密に行っている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記で述べたように、当初予想を覆すような調査結果を一部含むため、論文作成、投稿には至らず、再びインタビューを通じて、留学生の考え方の理解を深め、新たな分析方法、あるいは、新たな調査方法を立案している段階にある。これまで行ってきた調査プロセスそのものは、正しい手順を踏んでいるため、元になった適応モデルの理解、あるいはモデルそのものに不備があることも考えられ、現在、その原因の究明に努めている。見かけ上は停滞しているものの、現在行っている検討は、世界的な留学生の適応モデルに、一定の考察を投げかけるきっかけになる可能性を含んでおり、考究をさらに続けていく必要があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、新しい留学生の適応モデルの構築に向けて、調査方法と項目の洗い出しを行っている。 ただし、これまでの実績においても、留学生のニュース視聴について、実に興味深い調査結果が得られている。とりわけ、近年、SNSのニュース配信の実態や、準拠集団の形成との関連など、SNSがもたらすパルチザン効果(近似する意見の持ち主が「徒党」を組みやすく、対立する意見のSNSサイトに敵意を持ちやすくなる効果)に、世界的な注目が集まっている中、異なる文化圏の狭間で、中間的な位置づけにいる留学生の動向は、注目に値する。彼(女)らの多くは、故国の文化を大事にしながらも、留学先のホスト国の文化と融和してゆく目的を持っているため、そのメディア利用については、柔軟な対応を迫られており、その配慮が代表者が行った複数のインタビュー結果にも反映されている。彼(女)らの動向を引き続き注視して、アンケート、インタビューの両面から、彼(女)らのメディア利用行動、とりわけ、母国とホスト国における意見や利害が対立するような案件のニュース視聴の実態を調査して、理解を深めていく計画である。
|
Causes of Carryover |
アンケート結果が当初予測と異なった結果が出たため、統計処理および論文作成の進捗が遅れており、そのため、英文校正費や論文投稿費を30年度に廻す必要がある。これら資金を用いて、改めて、留学生にインタビューを初めとする改良調査を行い、改めて、論文作成、論文投稿に費用を充てていく計画である。
|
Research Products
(1 results)