2017 Fiscal Year Research-status Report
利用者行動分析に基づく、電子カルテの真正性・医療安全阻害要因の抽出と改善
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16K00461
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
津久間 秀彦 広島大学, 病院(医), 准教授 (10222134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 武志 広島大学, 病院(歯), 助教 (40325197)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 病院情報システム / 電子カルテ / 利用者行動 / ユーザビリティ / 医療情報管理 / 医療安全管理 / 診療情報管理 / 医療情報技師 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子カルテ利用者の不適切な利用行動に起因する蓄積データの品質面での問題には、これまであまり注意が払われてこなかった。それに対する電子カルテの機能・運用面の改善策を見出すのが本研究の目的であり、2017年度の成果は次の通り。 (1)データ品質や医療安全の阻害要因を整理・分析するために、「①利用者行動/②システム・アプリ構成/③用語の齟齬/④時間経過に伴う定義等のデータ変動/⑤施設間連携/⑥電子カルテの3原則/⑦障害」に起因する問題を切り分ける概念モデルを試作(論文1)。(2)「(1)の①②⑥⑦」に起因する問題の整理・改善に関して「ヘルプデスク問い合わせ事例を用いた電子カルテの課題の収集方法とその意義の検討」を実際の事例を用いて実施(論文2)。(3)「(1)の①」で利用者のミス防止支援機能の一例として、「読影レポートの見落とし防止のための繰り返しアラート機能」の効果を利用者心理・行動面から評価(投稿準備中)。(4)「(1)の③」に関連して、二次利用時のデータ利活用の効率化を目指した医療用SDM (Semantic Data Model)の実利用環境下での有用性を確認(論文3)。(5)「(1)の⑤」に関連して、他病院からの患者紹介の医用画像の持ち込みの合意事項の遵守状況を調査した結果、医療安全やデータ品質を阻害する事例が少なからず発生していることを確認(論文4)。(6)ある病院の診療看護支援機能に慣れた利用者が別の病院で勤務する場合に、新たな病院の支援機能が元の病院と異なるとどのようなリスクがありうるかを文献情報に基づいて整理(日本医療情報学会春季学術大会抄録集に掲載決定)。(7)医療情報管理組織の検討の一環として、その重要な担い手の候補となるべき「医療情報技師(日本医療情報学会の認定資格)」の現状のアクティビティをアンケート調査(文献5)と文献学的調査(文献6)で検討。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要(1)で述べた「問題点の整理・改善モデル」については、これまでに発生した問題点を文献情報に基づき抽出するとろろまでを2017年度に実施する予定であった。しかし、候補を広く網掛けする0次抽出段階で3,000編を越える文献が抽出されたために、2017年度中の問題点抽出は間に合わず、概念モデルの構築段階に留まっている。 また、多職種との関連が多く、特に病棟で基盤的な役割を担うことが多い「看護業務支援システム」についても、同様な発想でこれまでの到達点と課題を整理する予定であったが、こちらも0次抽出段階で約800編が抽出されたため、まだ具体的な課題の抽出には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
前項の文献整理については、抽出文献のタイトル情報から明らかに対象外と判断されるものを除外する作業の途上である。若干時間を要しているものの200~300編に絞り込んで本文を閲覧して普遍性・共通性の高い課題を抽出して、概念モデル(2017年度版)の①~⑦の枠組みで整理する。更に、その成果を基にして「データ品質向上のためのシステム構築・運用のための要件集(素案)」の形に最終的に整理する。 実際に現場で発生する問題点の整理については、研究実績の概要(2)で検討した内容に基づいて、問題点管理データベースを設計し、ツール構築・複数病院でのテスト使用・評価を予定していたが、上記の文献調査を優先するために、これについては設計段階までに留める予定である。
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Causes of Carryover |
研究協力者の都合で年度末ギリギリに実施した出張の金額が確定後に、残額を使用するタイミングがなく1,000円未満が残った。2018年度の文献調査時の印刷・コピー用紙代等に使用する。
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Research Products
(12 results)