2016 Fiscal Year Research-status Report
ドメイン名の多様化によるインターネットガバナンスの変容の評価分析
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16K00464
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
上村 圭介 大東文化大学, 外国語学部, 准教授 (10319014)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インターネット / ドメイン名 / ICANN / 新gTLD / ガバナンス / 登録数 / 登録料 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで公共財として運営されてきたドメイン名の管理運営のあり方が、2009年以降の国際化ccTLDの導入や2013年以降のgTLDの新設以降どのような変容を遂げつつあるのかを明らかにするため、今年度は、新gTLDプログラムの開始以降のドメイン名利用において、登録料と新gTLDの区分が、利用の度合い、すなわち登録数にどのような影響を及ぼすものであるかを分析した。
今年度は418の新gTLDの利用状況を分析した結果、ドメイン名登録数への登録料の影響が、一般の新gTLDおよび地理的名称gTLDの間、一般の新gTLDおよび国際化gTLDの間でそれぞれ異なることが明らかになった。この違いは、地理的名称gTLDおよび国際化gTLDは一般の新gTLDに比べいずれも高い不可欠性を有し、ドメイン名利用者がもつ異なるニーズを反映するものであると解せるものであることを示した。このことから、ICANNのドメイン名政策の評価においては、トップレベルドメイン名空間の拡張は現実の利用者のニーズを適切に反映するものと考えられることが明らかになった。
また、ICANNによる自己レビューの一環として行われているドメイン名の経済性とセキュリティに関する調査研究において、どのような項目が評価軸として設定されているかを調べ、次年度以降の本研究における評価軸の検討を行った。さらに、インターネット政策に関する国際会議に参加し研究報告を行い、国内外のドメイン名政策にかかる研究者と意見交換しただけでなく、今後の研究上の協力を約すことができた。 今年度の研究成果は、学術論文1件、国内学会発表1件、国際シンポジウム発表1件として公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、今年度は定性的な観点から新gTLDの管理運営方針に関する分析と評価を行う予定であったが、ICANNによる新gTLDプログラムの進捗が順調に進んでいたこと、また定性的な観点からの分析と評価を行う前に、定量的なドメイン名の管理運営の実態を把握し、定性分析における評価軸の検討を行うことが研究遂行上より適切であると判断されたことから、調査項目を一部入れ替えて、ドメイン名の利用促進要因についての定量研究を先行して実施した。
調査項目を一部入れ替えたものの、先行して実施することになった定量調査については、新gTLDを利用区分や対象利用者層によってグループ分けできることを明らかにし、先行して実施したことによるデータおよび分析結果の不十分さは見られず、今後の研究を進める上で十分な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度については、以下の2点について研究を進める。
(1)新gTLDの管理運営方針の分析と評価:新gTLDをドメイン名の利用区分ごとに分け、運営主体の特徴、ドメイン名登録において利用者に対して求められる登録要件、ドメイン名登録から得られる利益の処分のあり方などについて重点的に研究を進める。
(2)ドメイン名のガバナンス構造の変化の分析:新gTLDの管理運営方針の分析結果と、本研究課題実施者がこれまでに明らかにしてきたドメイン名管理方針の特徴を比較し、新gTLDとレガシーTLD(従来のgTLDおよびccTLD)との管理方針の違いを明らかにする。
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Causes of Carryover |
海外調査のための旅費が最終的に低廉で済んだこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の海外調査ならびに研究に必要な物品・資料の購入に充てる。
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