2018 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディアにおける死者のデータとプライバシーの再検討
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16K00468
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
折田 明子 関東学院大学, 人間共生学部, 准教授 (20338239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯淺 墾道 情報セキュリティ大学院大学, その他の研究科, 教授 (60389400)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プライバシー / 死 / 個人情報保護 / デジタル資産 / アイデンティティ / 終活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、法制度に関する調査、史料とプライバシーについての事例調査、日本国内および国際比較のアンケート調査を行い、多面的に死後のプライバシーの検討を行った。 法制度の調査では、故人のプライバシーの扱いの現状を次の3つに分類した。(1) 生存する相続人や親族に決定を委ねる (2) データ保護法制ならびにプライバシー保護法制を死者にも拡大する (3)財産権的な保護への転換を図る。 事例調査では、日本および欧州での戦時中や災害時といった大規模は災禍に関する展示を見学し、個人的な日記や手紙、写真の扱いについて調べた。数十年という期間を設定したり、遺族が遺品の提供にあたって選別に携わるなど、現存する人たちとの関わりの配慮は必要である一方で、個人的な情報が含まれた遺品は当時の具体的な状況を知る上では不可欠な資料であることも確認できた。 アンケート調査では、まず日本国内で大学生を対象に、いわゆる偉人の遺品について、身内や友人の死について、自身の死について残すもの・残さないものについて聞いた。その結果、史料としての価値を認めつつもプライバシーへの配慮があったほか、遺族としては故人のデータを残したいが、自分が故人であれば削除して欲しいという相反する傾向が見られた。次に、日本と米国、フランスの3カ国において、SNSデータの扱いについて比較調査を行った。その結果、他国と比較して日本では自分の死後SNSデータを削除したいという回答が多くみられた他、いずれの国においても、年代が高いほど自分のデータは削除する傾向がみられた。 これらの結果を、学会発表や論文に取りまとめた他、NHK番組への取材を受け一般に向けても発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
法制度の調査、事例調査ならびに意識調査を完了しているが、調査結果の研究発表および発表をふまえた取りまとめを次年度に繰り越した。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較調査で得られた知見について、年度内にまとめた論文を投稿中であり、採択された際には学会発表を行う。発表において参加者と行った議論も踏まえて、研究の成果を取りまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果の学会発表を行うに当たり、該当する学会が2年おきに開催される学会であったため。
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Research Products
(4 results)