2017 Fiscal Year Research-status Report
電力系技術者育成に向けた教育・学習支援システムの構築
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16K00481
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
福本 尚生 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60346872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 達也 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90173525)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育工学 / e-learning / 電力工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、電気機器などの電力工学に関する技術の教育・学習支援システムを構築することである。近年の環境・エネルギ問題に対する意識の高まりを受けて、電気機器学、電力工学、パワエレクトロニクスの重要性が再認識されつつあることから、若い技術者にも興味をもって電力工学の学習が行える教育・学習支援システムの構築を目指す。電力工学の基礎である、交直電力変換、電動機制御、エネルギーマネジメントシステム(EMS)について、遠隔実験を交えて学習可能なシステムの構築を目標としている。 平成29年度は、計画にあげていた「家庭でのエネルギマネジメントシステム(HEMS)の学習・教育システムに大幅な拡張を加える」ことを目標に進めてきたが,HEMSの電力計測回路の修正を行い,電力計測についても学習できるように変更した。加えて,「インバータ制御の仕組みについて実験を通して学習できるシステムにする」ことを目標としていたが,dsPICマイコンを用いたインバータ制御回路が作成でき,V/F制御や回転数制御など,三相誘導電動機を用いた遠隔制御実験が可能なシステムが開発できた。この成果については論文誌に投稿しており,掲載が決定している。また,dsPICを用いたインバータ制御回路を別途作製し,回転原理などを学習するための模擬誘導電動機の制御にも応用した。従来,コンデンサを用いて位相の異なる電流を流す,永久コンデンサモータとしていたが,インバータによる制御を行えるように改善した。今後,模擬誘導電動機を用いた,回転原理などを学習できるシステムとして完成させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「家庭でのエネルギマネジメントシステム(HEMS)の学習・教育支援システム」としては,電力計測部の改善を図り,電力計測についても学習可能なシステムとして構築を進めた。これまで,有効電力だけを計測していたが,無効電力や力率の計測も可能となり,その成果を学会発表した。無効電力の計測も可能となったため,模擬負荷としてもこれまでの抵抗負荷ばかりでなく,誘導負荷も加えたが,HEMSの学習・教育支援システムとしての完成までには至らなかった。 「誘導電動機のインバータ制御の学習・教育システム」としては,dsPICマイコンとIGBT素子を使用して,三相誘導電動機のインバータ制御回路を作製した。インバータ駆動用のPWM信号を生成するdsPICマイコンに対して,制御マイコン(Raspberry PI)から制御信号を送り,生成される三相交流の周波数や振幅を制御可能にした。加えて,誘導電動機のインバータ制御の一つとして,V/F制御が知られているが,このV/F制御も実装した。これらの制御をWEBからのインターネット接続によって,遠隔実験が可能なシステムとして完成することができ,これらの成果は学会論文誌に投稿し掲載が決定した。 また,誘導電動機の回転原理を学習するために製作していた模擬誘導電動機に対して,これまで,コンデンサを用いて位相の異なる電流を流して回転させていたが,それとは別に,上記のインバータ回路を使用した回転制御が可能なシステムへの拡張を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、計画にあげていた、「変圧器に関する遠隔実験が可能なシステムの構築」を進める。これまでに,巻線構造が通常の変圧器とは異なる,多巻線変圧器を製作し,電磁界解析CAEソフトを用いた数値解析などを行ってきた。変圧器の短絡試験や開放試験など,特性実験を遠隔で可能にし,数値解析結果と比較しながら学習できるシステムの完成を目指す。さらに,これまでに開発してきた各種電動機の学習・教育支援システムを実運用し,その教育効果,学習効果の検証を進める予定である。それらを踏まえて,成果を学会論文誌などで発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
開発した機器の不具合に対する補修部品を緊急で購入することも考えられたため,次年度に繰り越した。次年度は最終年度にあたるので,次年度の予算と共に消化する予定である。
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Research Products
(3 results)