2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K00485
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高橋 健一 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (10126922)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育工学 / 知的学習支援システム / ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、eラーニングシステムで学習する学生の学習効果を上げるためのインタフェースや方法を検討している。そのため、学習中の学生の集中度を促すインターフェース、学生の学習中の状態を検出して分類するシステムの開発、学習間の休憩時間における行動の影響についての実験を行う。学生の集中度を促すインタフェースでは、学習する学生が画面に向かっているときに集中していると仮定して、画面を見ているかどうかの検出をKinectにより行い、画面メッセージと音で警告する。また、学習中における学習者の状態分類では、学習状態として、本を読む、ノートをとる、手を上げる、スマホを使う、寝るを検出して分類し、学習中の状況を確認できるようにする。 平成29年度では、eラーニングシステムにおける学生の集中度の検出方法として、Kinectによる検出方法のパラメータを見直し、集中していないにもかかわらずそれを見逃している場面を少くする方式を検討した。学習実験を行い、アンケートによりその効果を確かめた。平成30年度では、この結果を国内会議および国際会議で発表した。また、平成29年度にKinectにより学習者の行動を分類する方法の改良を行い、平成30年度では、この結果を国際会議で発表した。学習者の状態分類実験の結果として、手を上げるやノートをとるなどは分類精度が高いが、スマホを使うは分類が困難な状況があることがわかった。平成30年度では、この実験結果を研究会等で発表し、さらに学習器を増やしてほかの学習状態の識別についても精度の向上を図った。この成果は、今後発表する予定でいる。さらに、休憩時間における行動としてコミュニケーションロボットの活用による影響を調べた。その結果、計算問題と記憶問題では休憩時間における行動に違いがその後の学習効果に影響を及ぼすことが分かった。また、文系学部への情報教育の効果について学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度では、Kinectによるeラーニング中における学習者の集中度を判断する実験および学習中の状態(本を読む、ノートをとる、手を上げる、スマホを使う、寝る)を判断する実験を行い、実験結果を、国内研究会等および国際会議にて発表した。Kinectによる集中度の検出実験では、検出のためのパラメータを見直し、学習のための教師データを増やして学習実験を行い、アンケートによりその効果を確かめた。 さらに、Kinectにより学習者の行動を分類する方法の改良を試みた。ここでは学習者の行動は変更せず、学習器を増やすなど分類手法の精度向上を試みたが、スマホに関する精度は向上できなかった。引き続き、分類手法の改良を試みる。しかしながら、Kinectによる顔画像検出と行動分析結果の統合については、行動分析に時間がかかるため難しく、引き続き検討を要する。 また、研究計画において、学習の間の休憩時間中における行動が学習に及ぼす効果についてコミュニケーションロボットを使用して実験を行った。実験結果について今後国際会議で発表する予定でいる。本実験結果より計算問題と記憶学習に対して休憩中の行動の種類について得られた知見をより確認するためにさらに実験を行う。 これらのことより、おおむね当初計画の通りに研究が進行しているが、一部追加実験を行うことになり、少し遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度でも引き続き、学習中におけるKinect による学習者の行動を分類する方法の開発を継続して行う。ここでは、Kinectによるジェスチャーの認識に加えKinectによる顔画像検出と行動分析結果を統合した学習者の集中度について検討する。これにより辞書を引いていたり、メモをとったりしている場合は、顔が検出されなくても学習を継続中であることが判断できるようになり、検出精度が向上できると考えられる。 これまでに、学習のあい間の休憩時間中の過ごし方として、ゲームをする、読書する、音楽を聴く、何もしない、の過ごし方を取り上げ、音楽を聴く、何もしない(安静にする)が効果がある、また、ゲームでは、シューティングゲームのように動きの激しいゲームが、育成ゲームのような体の動きが少ないゲームより適していないことことがわかっている。しかしながら、学習の内容が計算問題と英単語を覚えるというような記憶問題では、休憩時間における行動の及ぼす影響が異なる可能性がある。 また、近年対話型のかわいい小型ロボットや育成や愛玩用の犬型ロボットが注目を浴びている。そこで、休憩時間において、このようなロボットとのインタラクティブな活動が学習に与える影響を追加して、これらの過ごし方が異なった問題に対して学習効果に与える影響について実験を行う。 これらの結果については2019度中に国内会議や国際会議で発表する計画でいる。
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Causes of Carryover |
理由:平成30年度において実験に使う予定であったコンピュータを一部校費にて購入したコンピュータを使用したためと国際会議の開催場所が東南アジアであったので旅費が予定よりかからなかったため。 使用計画:実験において被実験者への謝金と海外で開催される国際会議において研究成果を発表するために使用する予定でいる。
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