2016 Fiscal Year Research-status Report
光ー光合成曲線と樹冠コンダクタンス指標を導入した総生産量推定アルゴリズムの開発
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16K00514
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
村松 加奈子 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (20252827)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 総生産量 / 総生産キャパシティー / 光合成の日中低下 / クロロフィルインデックス / 樹冠コンダクタンス / 衛星データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,以下の課題に取り組んだ。 課題1) これまで,樹冠スケールでの低ストレス下の光合成量を光合成キャパシティーと定義し,いくつかの植生タイプで光ー光合成曲線のパラメータをクロロフィルインデックスより推定する式の係数を決定した。全球での推定に向けて,同じ植生タイプでも生育地域の異なる大陸での本アルゴリズムの適用性に関して解析を行ない,現在論文を作成中である。また,農地はこれまで水田のみ解析してきたが,他の作物(ダイズ,コーン)についても解析を行った。Open shrub, closed shrubに関する投稿中の論文は,修正作業を行ない受理された。アマゾンの熱帯林に関する解析には一部問題があったため,今後さらに解析を行う必要があった。 課題2)フラックスで観測された総生産量(GPP)と本アルゴリズムで定義される総生産キャパシティーがどの程度異なるかについて調べた。これは気孔開閉による光合成抑制量に対応する。これまで,乾燥によるストレスが高い疎な灌木サイトに対して調べた。本年度はストレスが比較的低いと考えられる灌漑されている水田の6年間のデータを用いて解析した。その結果,総生産量は総生産キャパシティの91%であり,ストレスが低い場合は,第一近似で総生産キャパシティーが総生産量とみなせることが明らかとなった。本研究結果は学術雑誌に投稿し受理された。 課題3) 気孔開閉による光合成の抑制量をモデルに組み込むためには,日変化の気象データが必要になる。フラックスサイトの場所に対応した気候モデルの気象要素データを入手し,そのデータの利用可能性について調べた。その結果,植生が乾燥によるストレスを受けやすい疎な灌木サイトでは,モデルからの気象要素の出力と観測値の8日間の平均時間変化値は,多少の差異はあるものの,ほぼ一対一の関係にあり,総生産キャパシティー推定に利用できると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいるが,アマゾンの熱帯林での解析については,反射率データにうす雲などの影響が含まれている可能性があることが明らかとなり,再度,長期観測された反射率データを詳細に解析する必要がある。そのため,アマゾンの熱帯林のデータ解析結果の論文での発表には時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は課題1)~課題3)および課題5)にとりくむ。 課題1) 総生産キャパシティー推定式に関しては,これまで1年間のデータのみを用いて解析を行ってきたが,近年データの蓄積と公開が進み,数年間のデータをまとめて解析することが可能となったため,数年間のデータの解析を行う。また,衛星観測の反射率データにもうす雲やノイズなどが含まれていることがあり,衛星データ提供元のフラグを用いても除けない場合があった。そこで,解析サイトの長期間の反射率データの季節変化の特徴を調べ,うす雲やノイズデータを除去した上で,総生産キャパシティー推定式の係数を決め,推定式の精度向上を行う。 課題2) 総生産キャパシティーから総生産量への低下量に関して,各気候帯の植生タイプ毎に解析を行いまとめる。課題1) と課題2)の落葉針葉樹,常緑針葉樹に関する解析結果の論文を作成する。常緑広葉樹に関しても解析を進め,論文作成の準備をすすめる。 課題3) 現段階では,樹冠コンダクタンスの日変化を衛星観測時間である10時半で規格化したものを樹冠コンダクタンス係数と名付け, 樹冠コンダクタンス係数の時間に対する傾きが,樹冠コンダクタンス指標の一候補と考えている。MODISの午前,午後観測の地表面温度データと気象データより,時間に対する樹冠コンダクタンス係数の傾きを求める。乾燥地で高ストレス時のopen shrubにおいて,樹冠コンダクタンス指標の本候補がどの程度適用可能であるのかについて調べ,うまくいかない部分に関しては改良を行う。 課題5) 全地球への本アルゴリズムの適用にむけて,日変化の気象データの収集と,処理方法の検討を行う。
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Causes of Carryover |
7月30日~8月7日イスタンブールで開催の第41回COSPAR会議にて研究成果を発表予定であり,発表も確定していた。しかしながら,治安の悪化のため,COSPAR会議は中止となったため,国際会議に参加予定費用が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究に関連する海外の研究者を招聘して,議論を行い,研究成果を論文にする際の議論内容に反映させる予定である。
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Research Products
(4 results)