2017 Fiscal Year Research-status Report
高精度・長期衛星データセットの構築と情報学的手法による時空間変動研究
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16K00517
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
今岡 啓治 山口大学, 大学情報機構, 准教授 (50725869)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロ波放射計 / 校正 / 相互校正 / 輝度温度 / 長期データセット |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,昨年度実施した対象センサ間の校正差を算出する相互校正プログラムの拡張作業,地球物理量データセットの整備,ならびに時空間変動解析手法の評価を主な実施計画とした.合わせて,相互校正に関する外部発表等を実施した.相互校正プログラムについては,昨年度の未達事項であったSSM/Iシリーズへの対応を進めた.また,放射伝達コードRTTOVの地表面放射率データベースを参照することにより,海域に加えて熱帯雨林域を評価対象域に含めた.これにより高輝度温度の評価点が追加され,相互校正のダイナミックレンジを広げることができ,校正差の輝度温度依存などへの対応が可能となった.また,地球物理量データセットとして,宇宙航空研究開発機構が提供するAMSRシリーズの地球物理量データを中心に取得・整備を行い,時空間変動解析の手法検討を進めた.熱帯太平洋域における全天候型海面水温データに対して自己組織化マップ(SOM)を適用することにより,代表的な気候変動パターンとしてエルニーニョ・ラニーニャ現象の解析を試行した.入力層に海面水温偏差の空間分布の時系列を特徴ベクトルとして与え,出力層に少数のユニットを設定することで,監視海域におけるインデックスにより判定された,エルニーニョ・ラニーニャ時および平常時の識別を行うことができた.さらにユニット数を増やすことで,単一の監視海域におけるインデックスでは表現できない代表的パターンの特定も可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時空間変動解析手法の検討については,海面水温データセットに対する自己組織化マップの有効性を評価する段階に留まっており,輝度温度データセットへの適用等,未達の事項も存在する.しかし,相互校正プログラムの開発をほぼ完了し,変動解析手法の目処もついたことから,全体の研究達成度としてはおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,海面水温以外の地球物理量および輝度温度に対して時空間変動解析手法を適用し,評価を行う.また,ひまわり8号など,膨大なデータを取得する他のセンサデータへの適用性についても評価する.この際,必要に応じてクラスタ計算機上での処理へ拡張し,実装上の課題抽出を行う.最後に,3年間の研究結果のまとめを行う.
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Research Products
(4 results)