2016 Fiscal Year Research-status Report
液滴の変色で汚染物質の簡易分析を可能とするON/OFF反応系構築と途上国への適応
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16K00522
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
間中 淳 富山高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90413757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊嶋 剛司 富山高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (60447076)
入江 光輝 宮崎大学, 工学部, 教授 (50451688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 相分離 / 濃縮 / 六価クロム / 高感度簡易分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境調和型の均一液液抽出法とON/OFF変色反応系を構築、融合させることで、液滴の変色による六価クロムやヒ素等の重金属類の高感度・高精度目視分析法の開発を行なった。均一液液抽出法は、均一溶液からの相分離現象を利用することで、試料中の目的物質を相分離した微小な液滴中に濃縮・分離する手法である。一方、ON/OFF変色反応は比色反応系に阻害物質を作用させ、従来の比色反応の変色域を制御することで、ある試料濃度を境に鋭敏な色調変化を示す変色反応である。このON/OFF反応系を用いることで、変色数による試料濃度の目視判定が可能となり、誰もが明確に濃度を判定することができる。本研究では、均一液液抽出法によって生じた微小析出相の変色の有無によって重金属類の濃度を判定する手法の開発が最終目的であるが、今年度は、その全段階として重金属類の分離濃縮法の構築および、それを用いた高感度比色分析法を検討した。これまでに、環境負荷の少ない試薬のみによる抽出系を見出し、構築した低環境負荷型の抽出系を用いて環境汚染物質の一つである六価クロムの濃縮・分離が可能となり、抽出層による六価クロムの高感度比色分析が可能であった。また、本法は選択性も高く、種々の既知濃度の六価クロムを添加した水道水中の分析に応用したところ、良好な結果が得られた。また、ヒ素に関しては、従来のヒ素の比色法が抱えていたリン酸イオンの妨害を受けにくい新しい比色反応を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジフェニルカルバジドによる六価クロム発色体の濃縮・分離法を検討したところ、環境負荷の少ない、水/プロパノール/フタル酸ジメチル系の相分離現象を見出し、六価クロムの発色体を高効率で濃縮・分離できることを見出し、抽出層の色の濃淡で六価クロムの高感度比色分析法を構築することができた。また、ヒ素に関しては、抽出まで至らないが、従来の手法より選択性・感度・迅速性に優れた新規比色反応を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の通り、抽出層の変色の制御を検討し、変色数による目視分析法への展開を行う予定である。
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Causes of Carryover |
翌年度、本法の成果を中国での実試料に応用するため、予定していた当該国における研究機関との打ち合わせが、翌年度にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本計測法の応用先として中国における実試料測定のための、当該国における研究機関との調整および実試料の測定を翌年度実施する。
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