2016 Fiscal Year Research-status Report
メチル水銀を含む水銀動態のモデル化と曝露評価への応用
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16K00524
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
河合 徹 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 研究員 (30512719)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水銀 / 生物移行 / モデル化 / 曝露評価 / 環境政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
水銀に関する水俣条約が採択・署名され、近い将来、人為的な排出量の削減に向けた国際的な対策が講じられることになる。本課題では、申請者がこれまでに化学物質の動態研究において蓄積してきたモデル、データ、知見を広く統合し、水銀条約の有効性を評価するための方法論を構築する。具体的には、水銀の全球多媒体モデル(FATE-Hg)に有害性の高いメチル水銀の生成と水産物への移行を取り扱うサブモデルを導入し、水産物中のメチル水銀の人への曝露と、この起源を推定するためのサブモデルを統合する。H28年度には、海水-底質中におけるメチル水銀の生成と分解と海洋低次(粒子状有機物;POM)-高次(魚類)への移行を計算するサブモデルを構築し、FATE-Hgに導入した。また、このサブモデルにおいて主要なモデルパラメーターとなる、水銀の海水中における形態変化の速度定数、メチル水銀の植物プランクトンへの生物濃縮係数、メチル水銀のPOMから魚類への食物網蓄積係数について文献調査を実施し、規定値を確定した。さらに、公文化されているモニタリングデータを収集し、FATE-Hgより推定された大気-海洋表層の水銀濃度を検証した。海洋における水銀濃度を予測可能な広域モデルはそもそも少なく、再現性も悪い。これらの先行研究と比較し、濃度レベル、分布、季節性ともに良好な検証結果が得られた。本課題の土台となる全球モデルの構築はほぼ完了したと考えるが、水銀動態に関するモデルパラメーターには全般に大きな不確実性がある。これらの精緻化を引き続き進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度には、遠洋海水中におけるメチル水銀の生成と海洋水産物への移行まで取り扱う全球モデルの構築を目標としており、この目標はほぼ達成できた。ただし、海水-底質中の形態変化の速度定数、生物濃縮係数、食物網蓄積係数等の情報は少なく不確実性が大きい。引き続き検討を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、おおむね計画通りに研究が進んでいる。研究実施計画に従い、H29年度には、水産統計データと流通経路の調査に基づき、人為的な要因(漁獲-流通-摂取)による、メチル水銀の人への曝露経路をモデル化する。また、国別の発生源を推定することができるポストプロセッサーを作成する。最終年度となるH30年度には、H28-29年度に構築したモデル、データ、知見を統合し、水銀条約に伴う人為的な排出量の削減が、人へのメチル水銀の曝露リスクをどの程度低減させることができるのかを地球規模で推定可能な数理手法を完成させる。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会への参加を取りやめ、英文校閲等の論文投稿に関する経費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度未使用分は成果発表に関する経費である。学会発表、論文投稿費用として本年度以降に使用する。
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Research Products
(4 results)