2017 Fiscal Year Research-status Report
メチル水銀を含む水銀動態のモデル化と曝露評価への応用
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16K00524
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
河合 徹 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 研究員 (30512719)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水銀 / 生物移行 / モデル化 / 曝露評価 / 環境政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
水銀に関する水俣条約が発効され、水銀の人為的排出量の削減に向けた国際的な取り組みが進められている。本課題では全球多媒体モデル、水産統計データ、発生源寄与率解析を統合し、人為排出量削減に伴う環境・生物中の水銀負荷への応答(条約の有効性)を定量評価するための数理手法を構築することを目的としている。H29年度にはH29年度以降の研究計画の内、水産統計データの整理と、発生源を推定するためのポストプロセッサーの構築を行った。水産統計データには国際連合食料農業機関(FAO)の漁獲・生産・流通に関する全球のデータベース(FishStatJ)を用いた。2119魚種、26漁業海域、245ヵ国別に収集された、過去60年間分の統計データを整理し、魚種については、水棲動植物国際標準統計分類(ISSCAAP)に基づいて分類した。発生源の推定には排出量感度法を用いた。ソース地域は、東アジア、中央アジア、南アジア、北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアの8地域を設定し、FAO主要漁業海域における、形態別水銀のこれらのソース地域からの寄与率を推定するプログラムを作成した。また、これまでに得られている成果を統合し、特に水銀濃度が高いとされる、マグロ、カツオ、カジキ類についての試験的な解析を実施した。この結果、北半球では、地中海を除く全海域において、東アジアからの寄与が最大となり、南半球では、東アジア、南米、アフリカ、オセアニアの寄与が大きくなる結果が得られた。これらの結果を国内外の学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要課題である、全球多媒体モデルの構築、全球水産統計データの整理、発生源推定のためのポストプロセッサーの作成は完了しており、おおむね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
水産物の摂取量に関する調査を進め、前年度までの成果を統合し、水銀に関する水俣条約の有効性評価を行うための数理手法を完成させる。引き続き、全球多媒体モデルの改良と検証を進め、モデルプロセス・パラメーターに関する不確実性を検討する。課題全般に関する成果を取りまとめ、公文化する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた国際学会への参加費用が不要になったこと、論文投稿が次年度に持ち越されたことによる。前年度の未使用分は成果発表に関する経費であるため、学会参加、論文投稿費用として本年度使用する予定である。
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Research Products
(5 results)