2017 Fiscal Year Research-status Report
オゾンゾンデと化学輸送モデルの統合による東南アジアオゾン増大現象の解明
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16K00535
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
荻野 慎也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 主任研究員 (80324937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 和幸 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任研究員 (30435838)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オゾン / オゾンゾンデ / 大気汚染 / インドシナ半島 / 科学輸送モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
排出源切り分け実験の解析 (担当: 宮崎): ハノイにおける 3 月の平均的なオゾン濃度の鉛直分布が、どの領域で排出されたオゾン前駆物質により主に形成されているかを、切り分け実験の結果を解析することにより調べた。コントロール実験で得られた増大イベント時のオゾン鉛直分布と、ある領域からの排出をゼロとした場合の結果を比較し、オゾン濃度の減少分をその領域からの排出の寄与と考えた。そして、インド、インドシナ半島北部、中国南部からの排出の、ハノイのオゾン濃度に対するそれぞれの寄与率を求めた。それにより、ハノイの春季オゾン増大に最も寄与する前駆物質の排出源はインドシナ半島北部であることがわかった。この季節にこの地域で活発な焼畑の影響が大きいものと考えられる。
水平スケール・3 次元構造の解析 (担当: 荻野): オゾン増大現象の水平構造を記述し、3 次元的なオゾン増大の広がりを調べた。コントロール実験の結果だけでなく切り分け実験の結果を同様に解析することで、排出源により影響の与える範囲がどのように異なるかを記述した。また、背景の気象場を合わせて解析することで、どのような現象が 3 次元的な広がりをもたらしているかを調べた。さらに、増大現象の広がりの中で、ハノイがど のような場所に位置するかを調べ、ハノイ一点での観測が現象の南端に近い部分を捉えていることなど、これまでの知見をさらに深める結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い化学輸送モデルを用いた排出源切り分け実験の結果を解析することで、ハノイでのオゾン増大に対する周辺地域での排出の寄与を明らかにすることができた。また、増大現象の水平規模を調べることでハノイがオゾン増大領域の南端付近に位置することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
輸送メカニズムの解明 (担当: 荻野・宮崎): ハノイ上空でのオゾン増大が認められる事例について流跡線を後方にたどり、その輸送の過程で起 こっている力学的・化学的過程を調べる。具体的には、モンスーン循環による水平輸送や混合層の発 達に伴う鉛直輸送や混合、あるいは対流や降水などの湿潤な過程などが、排出源から最終的なオゾン 増大地点までの空気塊の輸送にどのように関わっているかを調べる。また、その輸送途上での光化学 反応や湿性沈着などオゾン濃度の変動をもたらす化学的作用がどの程度オゾン濃度の変動に寄与して いるかを、モデルデータを解析することで明らかにする。
観測・モデル不一致の原因解明 (担当: 宮崎・荻野): 以上の研究は、モデルが現象を比較的よく再現しているケースについての解析から現象の理解を深 めようとするものであった。しかしモデルがうまく再現できないケースも出てくることが予想される。 再現がうまくいかない原因を解析することで、モデルシステムの改善すべき点を指摘する。具体的に は、うまく再現されないケースに共通して見られる気象場・輸送経路の特徴を抽出することや、正し く再現されたケースとの比較を通して、鍵となる力学または化学過程を特定する。そして、モデルス キームの改良を行うことが可能であれば、改良したモデルでの再計算も視野に入れる。
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Causes of Carryover |
(理由) 新たに保管すべき大きなデータがなかったのでデータストレージは翌年度に購入することとした。ベトナムの研究者を交えた研究打ち合わせをハノイで行うための出張旅費を計上していたが、ベトナムの研究者が別件で来日し、日本で打ち合わせを行ったため使用しなかった。 (使用計画) 流跡線解析データを保存するためのデータストレージを購入する。また、ベトナムでのオゾン変動に関する1回目の打ち合わせのフォローアップを行うためベトナムに出張する。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Application of multi-constituent satellite data assimilation for KORUS-AQ2017
Author(s)
Miyazaki, K., T. Sekiya, D. Fu, K. W. Bowman, T. Walker, S. S. Kulawik, K. Sudo, Y. Kanaya, M. Takigawa, K. Ogochi, B. Gaubert, J. Barre, L. Emmons
Organizer
AGU Fall Meeting 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] A tropospheric chemistry reanalysis based on multi-constituent satellite data assimilation and its application for KORUS-AQ2017
Author(s)
Miyazaki, K., T. Sekiya, H. Eskes, F. Boersma, D. Fu, K. Bowman, Susan S. Kulawik, T. Walker, K. Sudo, Y. Kanaya, M. Takigawa, K. Ogochi, B. Gaubert, J. Barre, L. Emmons, A tropospheric chemistry reanalysis based on multi-constituent satellite data assimilation and its application for KORUS-AQ
Organizer
2017 annual conference of Korean Society for Atmospheric Environment
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Application of multiple-species satellite data assimilation for KORUS-AQ and air quality monitoring over East Asia2017
Author(s)
Miyazaki, K., T. Sekiya, D. Fu, K. W. Bowman, S. S. Kulawik, K. Sudo, Y. Kanaya, M. Takigawa, K. Ogochi, B. Gaubert, J. Barre, L. Emmons, and KORUS-AQ team
Organizer
AOGS 14th Annual Meeting
Int'l Joint Research
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