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2017 Fiscal Year Research-status Report

DNA損傷を負った細胞が生死の運命を決定する時期と要因の解明

Research Project

Project/Area Number 16K00549
Research InstitutionKanazawa Medical University

Principal Investigator

橋本 光正  金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (70293975)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 奥田 光一  金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (60639938)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
KeywordsX線感受性 / DNA損傷と修復 / アポトーシス / 細胞周期 / 生存コロニー / DNA修復後正常復帰 / ゲノム不安定性
Outline of Annual Research Achievements

DNA損傷を負った細胞は、損傷を修復して生存を試みるのか、修復をあきらめてアポトーシス死へ舵を切るのか、この運命の決定をいつ、どのように下すのであろうか。本研究では、X線照射後の細胞をタイムラプスレーザー共焦点顕微鏡で動画撮影し、最終的に生存あるいはアポトーシス死に移行した細胞の照射以降の状態を、時間をさかのぼって観察する。本研究は、DNA損傷部位に集積する53BP1のフォーカスの数、形態、容積を指標に、運命の決定を下す時期と運命を決定づける要因(DNA損傷数なのか、損傷の質なのか、損傷を受けた細胞周期なのかなど)を明らかにすることを目的とする。
私たちは、骨肉腫細胞株U2OS(p53は野生型である)にEGFP融合53BP1を発現させた細胞株を用いて以下のデータを得た。(1)X線照射直後から96時間目までを、タイムラプスレーザー共焦点顕微鏡で動画撮影したところ、96時間以内にアポトーシス死を迎えた細胞は5%以下であった。(2)これらの細胞がアポトーシス死を迎える時間帯は72-96時間目の時間帯に集中していた。(3)一方、同じ線量を照射された細胞の生存率をコロニー形成法で調べたところ、照射後10日目で5% 程度であった。つまり90%の細胞が96時間以降に死ぬか分裂停止することになる。(4)生存細胞のコロニーを調べたところ、1コロニー当たり約100細胞から形成されていた。これは、修復完了後7回前後分裂していることになる。増殖速度から逆算すると、生存細胞は、X線照射後72-96時間目には既に生存に向けて始動していたことが考えられる。(5)それとは別に、1コロニー当たり約50細胞以下から形成されるものも、全生存コロニー中10%程度あった。(6)生存コロニー中の細胞は、a)コントロールコロニーと同等な細胞、b)コントロールより大きな細胞、c)歪な細胞からなること。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1.X線照射後の損傷の数(=53BP1dotの数)、損傷消失の速度と細胞の生死との関係を明らかにすることができた。U2OS細胞にDsRed-53BP1を発現させ、様々な線量のX線照射を行った。(53BP1dot数はX線線量依存的であることが既に証明されている。)核に10-100個程度のDSBを与え、修復過程もしくはアポトーシスに至る過程を蛍光タイムラプス動画で撮影した。53BP1dot数、53BP1dotの消失速度を定量化し、その後の細胞の運命との関係を明らかにした。
2.損傷の質(53BP1dotの容積)、容積の減少速度と細胞の生死との関係を明らかにした。損傷の大きさを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて3次元構築した53BP1dotの容積で定量化した。線質と線量率を変えることによって、核に直径0.5~2.5μm程度の大きさの損傷を与えることが可能であった。これらのことを、さらに検討を重ね、線量率と全被爆線量を最適化することによって、損傷数は一定数(10個程度)にしながら、損傷程度を変化させ、53BP1dotの容積、その減少速度と細胞の生死との関係を明らかにすることができた。
3.X線照射後、コロニーを形成した生存細胞の染色体標本を調べ、コロニー中の細胞数と、NHEJ、HR修復の関係が明らかにできた。NHEJの場合の方がコロニー中の細胞数の数が多くなることがわかった。
4.48時間以内にDNA損傷が完了した場合でも、96-120時間でDNA損傷が現れるゲノム不安定性獲得細胞の存在が観察された。
以上のことから研究目的の損傷を修復して生存を試みるのか、修復をあきらめてアポトーシス死へ舵を切るのか、この運命の決定をいつ、どのように下すのであろうか、についての現象は経時的に再現できることとなった。本年度はそれらについて、分子論的機構を明らかにしていきたい。

Strategy for Future Research Activity

下記のことを中心に行う。特に今年度はDに注力したい。
A. Fastアポトーシス、Slowアポトーシスのp53依存性を確かめる。siRNAでp53発現を抑制したU2OS-E53BP1-FG1細胞株にX線照射を行う。動画-96、動画-192の解析から、p53の発現抑制によりFastアポトーシス数は減少するが、Slowアポトーシス数およびコロニー形成率は変化しないことを確認する。B. Fastアポトーシスを決定付けるDSBの状態、細胞周期を明らかにする。U2OS-E53BP1-FG1細胞株にX線照射を行う。動画-96の解析で、照射を受けた細胞周期や、53BP1のフォーカス数、大きさ、形、消失速度を指標に、照射後DSBがどのように変化するとFastアポトーシスに進行するのかを明らかにする。C. Slowアポトーシスへの進行を決定付けるDSBの状態、細胞周期を明らかにする。 U2OS-E53BP1-FG1細胞株にX線照射を行い、動画-192でSlowアポトーシスに陥った細胞について、動画-96で照射を受けた細胞周期や照射後のDSBの変化を調べる。これによりSlowアポトーシスを引き起こす要因を明らかにする。
D.生存細胞、Fastアポトーシス死細胞とSlowアポトーシス死細胞について、DNA修復機構(NHEJ、HR)との関係を明らかにする。 U2OSにRad54、Rad51、Ku70、Ku80、DNA-PKcs各遺伝子のsiRNAを処理し、HR、NHEJを抑制する。HR、NHEJを個別に、あるいは両方とも抑制した細胞について上記A~Cと同様のことを調べる。それぞれのDNA修復が個別に、あるいは両方とも抑制されたとき、(i)Fastアポトーシス死と(ii)Slowアポトーシス死のいずれかが促進されるか、両方が促進されるかを明らかにする。

Causes of Carryover

予算計上時より、一部の物品において、キャンペーン特価で安価で購入することができたため次年度使用額が生じた。

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Published: 2018-12-17  

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