2018 Fiscal Year Annual Research Report
Studies of radiation effects on the Tohoku hynobiid salamander for environmental risk assessment of the Fukushima nuclear accident
Project/Area Number |
16K00553
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
府馬 正一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 福島再生支援本部, チームリーダー (40260236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇根 ユミ 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (40160303)
久保田 善久 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 福島再生支援本部, 専門業務員 (70161685)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 両生類 / 被ばく / 防護 / 成長 / 性成熟 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東京電力(株)福島第一原子力発電所事故の高汚染地域における環境リスク評価および環境の放射線防護のための国際的指針作成に資することを目的として、有尾両生類の一種であるトウホクサンショウウオ(以下、サンショウウオ)を対象として長期低線量率被ばく実験を行って、線量率-効果関係を取得するとともに、その影響メカニズムの解明を行ってきた。 すでに約4年間γ線を連続照射していたサンショウウオに、さらに3年間γ線を連続照射したところ、150μGy/h以上では性成熟が阻害され、510μGy/hでは体重増加が抑制され、死亡率も増加した。病理学的検査の結果、死因は、高度の腎臓尿細管変性と肝細胞壊死と推定された。33μGy/hでは悪影響が見られなかった。過去の調査研究により、福島県の高汚染地域におけるサンショウウオの吸収線量率の最高値は50μGy/hであったと評価されているので、高汚染地域であっても福島県に生息するサンショウウオの生存、成長、性成熟に放射線の悪影響が生じる可能性は低いことが示唆された。 福島県の高汚染地域で採取した汚染底質に幼生を曝露させる実験を行ったが、その幼生から成長した幼体に皮膚病変は発生しなかったので、高汚染地域由来のサンショウウオ幼体で観察された皮膚病変の原因が放射線であるという証拠は得られなかった。 放射線を照射したサンショウウオで細胞増殖活性およびDNA損傷の各種マーカーを測定したところ、肝細胞と尿細管上皮細胞において、細胞増殖活性マーカーであるPCNA(増殖細胞核抗原)の陽性率が顕著に低下した。この結果は、上記のγ線連続照射実験における死亡個体の病理学的検査の結果を裏付けるものであった。
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Research Products
(1 results)