2017 Fiscal Year Research-status Report
ポリADPリボース加水分解産物を用いたDNA損傷性物質の定量的活性評価法の開発
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16K00562
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高村 岳樹 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (50342910)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PARP / リボシルアデノシン |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAの損傷時にはPoly(ADP)リボースポリメラーゼ(PARP)の作用により,損傷部位にポリADPリボース(PAR)が蓄積することが知られているが,その加水分解産物であるリボシルアデノシン(R-Ado)およびその代謝産物であるリボシルイノシンを定量する目的で,これらの化学合成方法の検討を行った。シリル保護を行ったアデノシンに対して,1位の水酸基に対してリボースを付加させる反応について検討を行った。しかしながら既報にしたがっても水酸基特異的な反応生成物を得ることが出来ず,現在,さらに合成方法を検討している。 また前年度,開発した抽出方法を用いて,過酸化水素処理した細胞からR-Adoの生成を確認したところ,R-Adoの生成はCHL/IUだけでなく,A549やHepG2,Helaといった細胞でも共通に観察された。それらの濃度は0.8~1nM 程度であり,過酸化水素100nM処理においては,R-Adoの生成には,細胞間において大きな差はなかった。R-Adoの濃度の時間経過について検討をしてみると,過酸化水素処理後,2時間後には,R-Adoの濃度は測定限界以下になるが,これは測定前のR-adoの濃度に比べても有意に低かった。細胞を継代している際においても内因的な原因によるPARPの生成かまたは細胞周期に関連したPARPの生成が可能性として考えられる。過酸化水素処理によりアレストを起こしている可能性もあり,細胞周期とR-Adoの生成の可能性についても検討を行う必要がある。今後は,さらにいくつかの変異原物質を用いてPARの生成について定量を行い,既存の変異原性試験との比較を行う予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞の種類とR-Adoの生成の関連性について検討を行い,当初の計画通りに進行している一方で,標準物質の化学合成が遅れているため,今後化学合成を中心に計画を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
リボシルアデノシンおよび,リボシルイノシンの化学合成を行うことを中心に,いくつかの細胞株で種々の変異原物質の処理の関連性について検討を行う。化学合成に関しては,いくつかの文献に記載してある方法を用いるが,アデノシンからのみでなくアデニンを中心に合成を進める方法も視野に入れいて行う予定である。
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