2017 Fiscal Year Research-status Report
バイオロギング-リアルタイムグレイジング解析を用いた砂漠化プロセスの解明
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16K00567
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川田 清和 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70529859)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 過放牧 / 資源選択性 / 草原 / グレイジング / モンゴル |
Outline of Annual Research Achievements |
調査サイトを5つ設置し,各サイトで2頭のヤギ(メス・4歳)を用いて放牧試験を行った.2 mのワイヤーで繋いだ放牧範囲(12.56 m2)と3 mのワイヤーで繋いだ放牧範囲(28.26 m2)を調査プロットとし1頭ずつをそれぞれの調査プロットに配置した.各調査プロットに1 × 1 mの枠を2つ設置し,放牧試験前(0 h),放牧後約6時間(6 h),放牧後約12時間(12 h)に植生調査を行った.枠内に出現したすべての種をリストアップし,それぞれの種について草丈および被度を測定した.ヤギ2 m区における推定地上部現存量は,放牧6 hで51.5%減少し,放牧12 hで59.6%減少した.ヤギ3 m区における推定地上部現存量は,放牧6 hで47.9%減少し,放牧12 hで56.9%減少した.すべての放牧試験区において,0 hと6 hおよび0 hと12 hの間に有意差が認められた(P < 0.01).一方で,各放牧時間における家畜および放牧密度の違いによる推定地上部現存量の差は認められなかった.カメラによって撮影されたヤギが餌資源として選択した植物種を,放牧1時間ごとに集計した結果,放牧後1時間の喫食行動で最も選択していた種はAllium bidentatum(ネギ科ネギ属)で選択性を示す資源利用率は64.7%であった.これに次いでHaplophyllum dauricum(ミカン科ハプロフィルム属),Convolvulus ammanii(ヒルガオ科ヒルガオ属)を選択し,それぞれの資源利用率は16.3%と8.4%であった.放牧後1時間で利用した植物種は13種であったが,資源利用率の上位3種だけで89.4%を占めていた.放牧開始から1時間が経過した後は餌を食べる勢いが減少し,食事時間も約3分の1に減少した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年は干ばつの影響が大きかったため,植物の同定が困難であった.そのため1回目の調査データは同定作業が続いているもののデータ収集は行えており,2回目の調査は比較的順調に分析が進められているため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
高速で動く喫食行動を秒単位で解析することや,ヤギが食べている種類を同定するという極めて高度な技術を要するため,カメラデータの解析作業に時間は掛かっている.研究のオリジナリティを高めるためには重要であるが,あまりにも時間がかかるため解析方法の工夫が必要である.そこで2018年度はカメラデータの解析では,AIを用いた画像認識モデルを作成できないか検討したい.
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Causes of Carryover |
(理由) 海外調査費用が予定よりも多くなったため1回分の調査費用の増加分を運営費交付金(別予算)で支出したが,清算後,事前計算との差額が生じたため. (使用計画) 翌年度も不足すると見込まれる海外渡航費用を補うことで,円滑な現地調査を行うことが期待できる.当初計画を見直し,効率的な経費執行を行ったうえで,次年度で必要な消耗品等の購入に充てる予定である.対応を考慮してもなお予算が不足する場合は,別予算との調整によって現地調査に支障が出ないようにする.
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Research Products
(7 results)