2017 Fiscal Year Research-status Report
コウモリ類の音声モニタリングの汎用化に向けた音声データベースと識別方法の構築
Project/Area Number |
16K00568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60706670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 孝典 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30423205)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コウモリ / エコーロケーションコール / 種判別 / 音声モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の内容は、コウモリ類の「音声モニタリング調査」の汎用化に向けた、基盤となる参照音声データの集積と、種の識別手法の構築である。そのために、日本産コウモリ類全種の飛翔時音声(エコーロケーションコール)を収集し、データベース化する。さらに、収集した音声を用いて、機械学習アルゴリズムを用いた「音声による種識別方法」を構築する。平成29年度は、当初の研究実施計画に基づき、以下の調査研究を行った。 1)日本産コウモリ類の参照音声の収集:多くの対象種が生息する南西諸島(奄美大島)を調査対象地とし、ヤンバルホオヒゲコウモリ、リュウキュウテングコウモリの飛翔音声を録音した。Harp Trapを用いてコウモリ類を捕獲し、捕獲された個体の種同定や計測 、標識を行い、放逐後の飛翔時音声をTime Expansion式バットディテクターとリニアPCMレコーダーを用いて録音した。また、北海道においても、コウモリの捕獲を行い、上記同様の録音を行った。以上の結果、13種100個体以上の参照音声を収集することができた。 2)種識別方法の構築 :これまでに研究代表者が収集してきた音声ファイルをspectrogram画像に変換し,画像分類問題で性能が高いConvolutional Neural Network (CNN) を用いることで,特徴量を自動抽出し,高精度かつコールの変異性やノイズに頑健な種判別法の開発を目指した。結果,10分割交差検証での評価で平均正答率98.3 % (S.D. 0.9) を達成した.入力のspectrogramが多様であったことや対象種数を考慮すると,先行研究と比較しても高精度かつ,コールの変異性やノイズに対しても頑健に種判別が行えたと言える。この結果は日本生態学会札幌大会で発表し、現在論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドワークに関しては、ほぼ当初の予定通りのデータを得ることができた。東北地方でのサンプリングを予定していたが、研究協力者の事情により見送りになった。しかし、北海道などの他地域でのサンプリングを代わりに進めることができた。また、種識別機の構築に関しても、前年度に構築した、基本となる識別機をさらに発展させ、高精度の識別器を構築することができた。よって、順調に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、全国各地での参照音声収集を行う。平成30年度は九州と北海道を調査値とし、ノレンコウモリやホオヒゲコウモリといった、希少な種の音声収集に挑む。種識別器に関しては、これまで収集した全国のコウモリの音声を対象として、29年度に構築した深層学習を用いた識別器を応用していく。同時に、コウモリ類の音声データベース化を進めていく。
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Causes of Carryover |
(理由)当初よりも旅費を安価に抑えることができたため。 (使用計画)論文投稿料、英文校閲料の増加が見込まれる。また、調査回数が増加する見込みである。
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