2017 Fiscal Year Research-status Report
大気環境観測衛星データに基づく大陸からの越境大気汚染による児童健康リスクの評価
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16K00571
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
渡部 仁成 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (80397851)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PM2.5 / 児童 / 健康影響 / 越境大気汚染 / 呼吸機能 / 呼吸器症状 / 炎症性サイトカイン / 間接喫煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年1月から2月に,小学校児童300名を対象に,毎日午後にピークフローメーターを用いた呼吸機能測定と咳,痰のスコアリングによる呼吸器症状のモニタリングを実施し,その結果を回収した。記載漏れがない276名についてデータの入力を実施した。PM2.5,二酸化硫黄,窒素酸化物,オゾン,一酸化炭素の各濃度と呼吸機能と呼吸器症状との関連について線型混合モデルにより解析を実施した。この調査において,屋内PM2.5の重要な原因である喫煙の影響を検討するために,家族の喫煙の有無についても調査を行い,間接喫煙の有無により,児童の呼吸機能と呼吸器症状と大気汚染物質との関連に差があるかについても解析した。 2017年1月から2月に,1μm以下の大気中の粒子状物質を集塵器に分流装置を設置してフィルター上に捕集した。フィルターは24時間毎に交換し,日毎の1μm以下の大気中の粒子状物質の捕集を行った。捕集した日毎の1μm以下の大気中の粒子状物質で,ヒト気道上皮細胞(BEAS2B細胞)、ヒト単球(THP1細胞)を刺激培養し,培養上清中の炎症性サイトカイン濃度(IL1β,IL-6,IL-8,IL-33,TSLP)の濃度をELISA法により測定した。測定した炎症性サイトカイン濃度と児童の呼吸機能と呼吸器症状との関連について線型混合モデルにより解析を行った。 5つの小学校(児童数約2,000名)について,毎日の病欠人数と病欠理由について調査を継続している。今後,大気汚染が児童の病欠に与える影響について解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
小学校児童を対象にした呼吸機能と呼吸器症状のモニタリングは終了し,PM2.5,二酸化硫黄,窒素酸化物,オゾン,一酸化炭素などの大気汚染物質濃度と呼吸機能と呼吸器症状との関連について線型混合モデルによる解析は既に終了している。1μm以下の大気中の粒子状物質による炎症性サイトカイン産生濃度と児童の呼吸機能と呼吸器症状との関連について線型混合モデルにより解析を行い終了している。これら大気汚染物質と粒子状物質による炎症性サイトカイン産生濃度と呼吸機能の関連について,間接喫煙の有無による層別化解析も終了している。得られた結果をまとめ論文投稿の準備を進めており,このうち1報は現在投稿中である。 追加で実施している毎日の児童病欠人数と病欠理由についての調査は継続できている。
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Strategy for Future Research Activity |
衛星データを元に大陸からの大気汚染流入が粒子状物質による炎症性サイトカイン産生に与える影響を評価する。 毎日の児童病欠人数と病欠理由について調査を継続する。大気汚染が児童の病欠に与える影響について解析を行う予定にしている。 得られた結果について論文化の作業をすすめる予定にしている。
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Causes of Carryover |
疫学データ集積が初年度に予定以上に進んだこと,ELISAキットなど,実験用品が予定していたより使用量が少なくなったことにより差額が生じた。
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