2017 Fiscal Year Research-status Report
沖縄のコウモリに関与する感染症生態学の高感度網羅的遺伝子探索による解析
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16K00574
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
斉藤 美加 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90235078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 行人 琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命講師 (20566418)
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (40168828) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 洞窟性コウモリ / 環境DNA / リスク評価 / 人獣共通感染症 / 感染症人類学 / 次世代シークエンス / 次世代環境影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
「沖縄のコウモリに関与する感染症生態学の高感度網羅的遺伝子探索の解析」 「目的」コウモリは過去半世紀の新興感染症(マールブルグ病、エボラ出血熱、リッサ熱、ニパウイルス感染症、ヘンドラウイルス感染症、SARS,MARS)の由来動物と考えられている。また、代表者が研究を進めているn日本脳炎ウイルス(JEV)と媒介蚊の越冬に洞窟が関与している事が示唆され、また、洞窟性コウモリからJEVが検出されている。コウモリの感染症生態学の解明は、既知の新興感染症の対策立案や、未知の新興感染症へのリスクを感知し、早期発見、早期警戒に必須であり、喫緊に求められている。本研究では1)近年のIT環境革新により可能となった高感度網羅的遺伝子探索技術を導入し、コウモリならびに蚊が関与する未知及び既知の病原体を網羅的に探索する事 2)地域の暮らしと病原体の自然宿主であるコウモリと蚊の関わりを含め,学際的に感染症生態学を解明する事を目的としている。 「今年度の研究成果」1)沖縄に生息する洞窟性コウモリ2種 オキナワコキクガシラコウモリ(1カ所)とリュウキュウユビナガコウモリ(2カ所)の糞を繁殖期を除き毎月採取した。2)糞からDNAを抽出し、次世代シークエンスにかける事ができ、予備的な結果を得る事が出来た。3)その結果、16門54目 93科の生物の遺伝子を検出した。種により、食性の異なりがあり、蚊が属するハエ目はオキナワコキクガシラコウモリからのみ、検出された。4)研究成果アウトリーチの一貫で、洞窟ゼミを開催し、地域住民への研究成果を還元すると共に、洞窟、コウモリと住民との関わりについてインタビューした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までに洞窟3カ所をオキナワコキクガシラコウモリとリュウキュウユビナガコウモリの定点と決め、糞を毎月採取した。今年度、予備的に次世代シークエンスをかける事で、コウモリ種による食性の違い、季節性、人獣共通寄生虫の検出等、興味深い結果が得られている。また、同時に感度や精度に関する改良点も見つかった。また、今までの成果を住民に還元することを目的に、第1回洞窟ゼミを開催し、住民のくらしと洞窟、コウモリ、蚊との関係を住民に聞取りした。結果沖縄島中部地区のある村において、コウモリに関する特有言語や興味深い生物学的蚊防除による対策がとられていたことがわかった。 研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンスの条件設定をし直し、データを取り直す。 昨年度の研究で確認されたコウモリ間で食性の差の傾向を、明らかにするため、同時期に複数洞窟からそれぞれの種の糞を集める。また、この食性の違いが、nichの生態系によるものか、選択的なものかを明らかにする。コウモリの食性から見えてくる周辺環境の検討を行う。 また、糞から確認された寄生虫の生態学的検討を行う。また、感染環を明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) その他調整費として残した。 (使用計画) 消耗品に使用する。
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Research Products
(10 results)