2016 Fiscal Year Research-status Report
原発事故前後のイノシシの遺伝的組成変化に基づく野生動物の被曝影響分析
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16K00575
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
村瀬 香 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 准教授 (60396819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊幸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80242238)
奥田 圭 福島大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (90749665)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 野生動物 / 哺乳類 / 被曝影響 / 集団構造解析 / ハプロタイプ / ベイズモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
原発事故が野生動物の遺伝子に与える影響に関するこれまでの研究には、汚染度が異なる地域間で比較したものは報告されているものの、同じ場所で、事故前後の比較を行なった報告はほとんどない。そこで本研究では、事故前からサンプリングしているイノシシを研究材料として、汚染度が異なる地域間と、同じ地域の事故前後において比較し、イノシシの遺伝的組成の変化を明らかにすることで、野生動物の被曝影響を分析することを目的としている。 昨年度は複数の地域でイノシシのサンプリングを行なった。その際、調査地域、性別、サイズなどの生態データを集めるとともに、既存のソフトではなくプログラミングを通じて解析しやすいようにデータを整理した。また、マイクロサテライトを用いたフラグメント解析とシーケンスを行なった。特に昨年度は、ゲルマニウム半導体検出器で汚染度を測定する目的ですり潰して時間が経過したサンプルを対象に、どのような実験条件なら塩基配列を決定することができるのかを検討した。その結果、比較的多くのサンプルで塩基配列を決定することができる条件が明らかになった。さらに、そのうちのいくつかのサンプルについては、ハプロタイプを決定することが出来た。 学術論文としては、原発事故や自然災害などの緊急事態には、長期的な視野に立った従来の解析手法を選択するよりも、ベイズ法を用いた統計モデリングの方が有用であることついて啓蒙する論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、(1)サンプリングとデータ整理、(2) マイクロサテライトを用いたフラグメント解析、(3)ハプロタイプの決定、という3つの研究実施計画を立てていた。どの項目も、概ね予定通りに行なわれた。ただし、有害駆除で捕獲されるイノシシは、調査日にサンプリングが出来るのかが不確定であったため、時期によってサンプル数に大きな差異が生まれた。このことから、データを補強するために今後もサンプリングを行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、補助的なサンプリングを行ないながら、塩基配列情報を用いた分集団解析、親子解析に着手する。平成29年度は、(1)高汚染地域に移入していない分集団の特定、(2)親の由来と子の汚染度の関係を解明するという、2つの計画を立てている。平成30年度は、研究で得られた全てのデータをまとめて、(1)階層ベイズモデリングによるイノシシへの被曝影響分析を計画している。
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Causes of Carryover |
サンプルの保存用に大型の冷凍庫を購入予定であったが、予定外に、使用済みの冷凍庫を譲り受けることになった。研究室のスペースに限りがあるため、予定していた大型の冷凍庫を入れることが出来なくなり、改めて冷凍庫のタイプを選ぶことになった。冷凍庫内のサンプル整理用の物品なども、改めてタイプを選ぶことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究室に入るサイズの冷凍庫と、冷凍庫内のサンプル関連の物品を購入予定である。当初の予定していた金額内で選定する。なお、容量は小さくなるものの、研究の遂行に支障はない。
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Research Products
(6 results)