2016 Fiscal Year Research-status Report
海洋放出された放射性核種の海底堆積過程及び局所的な高濃度状態の形成過程の解明
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16K00580
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
浅見 光史 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80446591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 秀行 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80399518)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ダウンスケール / 海洋堆積物 / 放射性核種海洋移行 / MASCON / 狭域海流場 |
Outline of Annual Research Achievements |
[狭域における海流場の評価に必要な技術の確立] 極狭域海流場をCFD計算で求めるためには、海洋モデルで得られた広域海流場をダウンスケールする必要があり、計算領域の接続面で適切な境界条件を設定する手法を確立する必要がある。海洋モデルによる海流場は、日本近海海洋変動予測システム(JCOPE)による水平解像度1/36°データを使用した。海流場のCFDモデル及び海洋力学モデルでは、支配方程式は両者とも連続の式と運動量保存の式であるが、CFDではブジネスク近似を仮定したナビエストークス(以下NS)方程式を解くのに対し、海洋力学モデルでは更に静水圧近似を施して簡略化する点が異なる。静水 圧近似では、海洋の空間スケールが水平方向と比較して鉛直方向が極めて小さいことに基づき鉛直方向の運動量保存式を簡単化するため、ダウンスケールの際は圧力項に最も誤差が生じ易い。そこで本研究では、ダウンスケールの接合面(境界)における物理量(流速、圧力、状態量)の設定法を開発した。 平成28年度においては、極狭域(CFD計算領域)海流場の流速境界条件として使用する、広域海流場における流速の補間法を開発するため、広域海流場における流速を、適切な補間法を用いて、海洋モデルによる計算領域である狭域海流場の流速境界条件として設定した。流速値を広域から狭域へダウンスケールする際に用いる補間手法として、質量保存流速場モデル(MASCON)を適用した。 ※MASCONは、評価範囲の流動場を、少数の観測値(あるいは計算値)から任意座標上において質量保存則を満たすように求める方法であり、空間スケールの大きな計算対象の流動場を短時間で求めるための手法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
狭域海流場の海洋モデルによる計算において、大気外力のほか潮汐の影響も含めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、CFD計算領域(狭域海流場)の流速境界条件として使用する広域海流場における流速境界条件からの圧力分布解析と圧力基準値の推定、及び非物理的流れとならないための状態量の流出入設定法の開発を行う。 平成28年度に開発した流速の補間法を用いて得られた境界面の流速を用いて、CFD領域で支配方程式から圧力分布を求める。圧力の基準値は、流速変化の小さい位置の値を用いる。状態量については、非物理的な流れの発生を防ぐため、流入は海洋モデルの定義点値を線形補間して設定し、流出はCFD領域の計算結果を等値外挿する。 海洋モデル領域とCFD領域における計算時間間隔の比は、各計算領域におけるクーラン数を同一とするように、格子幅比と時間間隔比が等しくなるように与える。
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Causes of Carryover |
平成28年度においては、海洋モデルの並列化環境を整備すること、大気外力の影響、潮汐の影響をモデルに考慮することに重点を置き、負荷のかかる具体的な計算については平成29年度に重点的に実施することを考え、平成28年度予定していた計算機購入が未消化になったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由に述べたとおり、平成29年度に負荷の大きい具体的な計算を実施するため、当初平成28年度に購入を予定していた計算機を平成29年度に購入する。平成28年度に整備しておいた並列化環境及び海洋モデルを、購入予定の計算機で用いることで、合理的かつ計画的に研究が進められる。
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Research Products
(1 results)