2017 Fiscal Year Research-status Report
下水からのリン・アスタキサンチン同時回収のための微細藻類培養技術の開発
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16K00585
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
永禮 英明 岡山大学, 環境管理センター, 准教授 (60359776)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 下水処理 / 微細藻類 / 資源回収 / リン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,下水中で微細藻類ヘマトコッカスを培養し下水からリンと同時にアスタキサンチン(AX)を生産・回収するための「リン回収型アスタキサンチン生産フォトバイオリアクター」を構築する。2年目となるH29年度には,様々な微生物が混在する中でAXを生産するHaematococcus pluvialisを継続的に優占培養するための方法,ならびにH. pluvialis細胞からの効率的リン回収方法について検討を行った。 優占培養に関しては,そもそもAXが抗酸化物質であることから,それを生産するH. pluvialisは他の微生物よりも抗酸化性が強いとの推測のもと,微生物細胞に酸化性物質であるオゾンを添加し,細胞活性度の変化を比較した。下水中に多量に存在する細菌では,オゾン添加率を高めるほど細胞の活性が低下し,細胞がオゾンによる損傷を受けていることが示された。H. pluvialisに関しては,AXを含まない細胞と含んだ細胞とで実験を行った。AXを含まない場合,細菌に比較し活性度の低下が小さかったものの,無視し得ない程度の損傷を受けていた。一方,AXを含んだ細胞では活性度の変化が小さかった。この結果から,オゾンを添加することによるH. pluvialisの優占培養が可能であることが示唆された。 H. pluvialis細胞からのリン回収に関しては,細胞を水とヘキサンの2相を含む溶媒中で細胞を破砕し抽出物を回収した。当初,リンは水層から回収できるものと考えていたが,回収量が想定よりも少なかった。そこで,水―ヘキサン間でのリンの分配平衡を,量子力学計算を用いた評価を行った。しかし,この結果からもリンは水層に多く存在するはずとの結果が得られた。このことから,H. pluvialisにおいては,細胞中リンは脂質と結合した疎水性の強い形態として存在すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りのスケジュールで研究が進んでいる。オゾンを使用することで細菌が共存する環境下でもH. pluvialisを優占的に培養できる可能性が示唆された。細胞からのリン回収に関しても,リンが疎水性の高い,他の物質と結合した状態で存在する可能性が示されたことから,具体的な検討が行える段階へと移行したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H. pluvialisの優占培養に関しては,オゾンを使用した評価を継続し,その実現のための具体的な条件を検討する。また,細胞からのリン回収に関しては,ヘキサン層に含まれるリン化合物の形態をGC/MSなどによって特定し,そののちに化合物に応じた回収方法を検討する。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験補助に関する謝金の支払額が,予定していたものよりも少なく済んだため。
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