2016 Fiscal Year Research-status Report
酸性下で増殖するラビリンチュラ類の増殖・脂質生産特性の評価と余剰汚泥資化への応用
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16K00587
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 智司 広島大学, 工学研究院, 教授 (80313295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 渉 広島大学, 環境安全センター, 教授 (20243602)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラビリンチュラ類 / 増殖特性 / 塩分 / pH / 温度 / 脂質生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
L3W株の18SrDNAを抽出してPCRにて増幅後、塩基を分析してInternational Nucleotide Sequence Database (DDBJ/ENA (EMBL) /GenBank)を用いたデータベース検索を行った。その結果、Aurantiochytrium limacinumとの相同性が最も高かったが、その割合は98.9%に留まっており、L3W株は新規株であることが示された。また、BY790+培地にて培養したL3W株の脂肪酸を分析した結果、DHAを6.3 mg/g-dry cellにて含むことが明らかとなった。 次に、温度、塩分、pHによるL3W株の増殖と脂質生産への影響を評価した結果、L3W株は15~35℃、pH3~9、0.1~90 psuで増殖可能であることが明らかとなった。増殖に対する至適温度、pH、塩分濃度は25℃、pH7、30 psuであったが、至適温度、pHから外れると脂質含有率が上がることが確認された。また、塩分濃度を上げることでL3W株はクラスターを形成しながら増殖していくことが明らかとなった。これより、至適pHにて培養の後に、温度やpHを変更することで脂質含有率を上げられる可能性、塩分についてはその調整によってL3W株細胞の沈降特性がコントロールできる可能性が示された。 炭素源の利用可能性を評価した。BY790+培地のグルコースの他、フルクトースやスクロースといった単糖、そのポリマーであるスターチ、酢酸ナトリウムやステアリン酸ナトリウムといった脂肪酸、グリセロールやペクチンの利用可能性を評価した結果、ペクチンや酢酸ナトリウムにはグルコースを上回る増殖能を示すことが示された。酢酸ナトリウムの利用はL3W株のユニークな性質であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は炭素源や窒素源の要求性、ならびに基質による脂質生産への影響の評価培養環境による脂質生産への影響の評価を目的としていた。窒素源については、データを纏めている段階であるが、平成29年度以降の課題であった汚泥の利用可能性については、先んじて研究に着手できたことから、このように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画通り行う。なお、汚泥に替わる有機性廃棄物の検索も検討する。
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