2017 Fiscal Year Research-status Report
酸性下で増殖するラビリンチュラ類の増殖・脂質生産特性の評価と余剰汚泥資化への応用
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16K00587
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 智司 広島大学, 工学研究科, 教授 (80313295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 渉 広島大学, 環境安全センター, 教授 (20243602)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラビリンチュラ類 / 余剰汚泥 / 植物残渣 / 非滅菌培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養に使用する有機性廃棄物として、余剰汚泥、ならびに植物残渣について検討した。余剰汚泥を海水に懸濁させたものにAurantiochytrium sp. L3W株を植種しても同株は増殖しなかったが、余剰汚泥をアルカリで予め加水分解すると増殖することが確認された。なお、加水分解の期間が72 h以下の場合、L3W株の増殖能が良好でなかったことから、加水分解の進行状況が重要な操作因子の一つであることが認められた。また、グルコースなどと比べて、加水分解した汚泥は炭素源として利用しづらいことが認められたものの、窒素源としては良好であった。一方、植物残渣8種類(おから、レモン外皮、小松菜、醤油粕、大豆粕、キャベツ、オレンジ外皮、ブドウ外皮)を乾燥させて粉砕し、それらを滅菌海水に加えた結果、残渣のC/N比がL3W株の細胞(9.3)と近い小松菜、おから、醤油粕、レモン外皮での増殖が良好であることが認められた。次に、非滅菌条件下で、植物残渣を加えたろ過海水においてL3W株を培養した。その際pHを3~5に調整することで混入微生物の増殖をある程度抑制できたことから、pH4での非滅菌下培養を試みた。小松菜を用いた場合、非滅菌系pH4での脂質生産量は滅菌系滅菌条件下pH7と同程度の脂質生産量を得ることができた。一方、醤油粕を用いた場合、pH4に調整しない非滅菌系pH7において、滅菌系pH7と同程度の脂質生産量を得ることができた。これは、醤油粕由来の塩分により、塩分濃度が約40 psuに増加したことによるものと考えられた。この他、ジャム工場の廃棄物を用いた結果、炭素源として有用であることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
余剰汚泥と共に植物残渣を基質として利用できること、それらを用いた非滅菌培養が可能であることを見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
基質や培養環境による脂質合成の変遷機構の評価を行い、培養条件の最適化につなげる。
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