2017 Fiscal Year Research-status Report
環境アクチノイド元素の放出起源・履歴分析に向けた極微量多元素全自動分離の開発
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16K00592
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮本 ユタカ 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 安全研究・防災支援部門 安全研究センター, 研究主幹 (60219821)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 極微量 / アクチノイド / イオン交換分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環境中に放出されたアクチノイドなど極微量元素を対象とし、堆積物や植物など環境試料に含まれる極微量元素人工放射性元素の元素組成や同位体組成から放出期限や履歴を読み解く道具として、アメリシウムやプルトニウムを含む多元素の極微量化学分離から分析まで一連の技術を確立することを目的とする。分離分析対象とする元素はアメリシウム、プルトニウム、ウラン、トリウム、鉛、希土類元素である。研究代表者がこれまでの研究によって開発した逐次分離法を発展させて、アメリシウムを含む多元素同時分離技術を開発し、環境標準試料や模擬試料を分析して開発した技術の実用性を評価するまでを目標とする。本年度(29年度)は、研究計画に基づき、得られた分離条件を更に最適化して希土類元素、アメリシウムおよびプルトニウムの分離性能を上げた。また、濃度既知の標準堆積試料を最適化した分離条件で目的元素の逐次分離を試みた。しかし、この実験過程で装置の要である多チャンネルソルベントセレクタバルブが故障し、新規に交換せざるを得ず、交換品を入手するまでに長期間かかってしまった。また、研究組織の事情で核燃料スパイク試料の使用が一時的に中止となった。このような研究計画では当初予期していなかった事態が生じたため、予定していた評価試験に遅れが生じた。これまでに得られた研究成果は国際学会2件(6th APSORCとINCC-2017)で発表し、研究者に広く公開した。特に6th APSORCでは招待講演として扱われ、国際的に高い評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では当初予期していなかった装置の要である多チャンネルソルベントセレクタバルブの故障や核燃料スパイク試料の一時的使用中止により、予定していた評価試験に遅れが生じたが、現在は遅れていた計画を取り戻して課題を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に即して、環境模擬試料を作成し、分析値の正確さや精度の観点から性能評価を行う。実際に環境試料の分離・分析に適用し、この方法の分析下限などを評価する。利用可能な加速器質量分析施設担当者と試料の同位体比測定の可能性について打ち合わせを行う。得られた結果を取りまとめて国内外の学会において研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
本年度に行うはずであった評価試験が、予期していなかった事態(装置故障およびスパイクの一時的な使用中止)により行えなかったため、その評価試験の一部を次年度に行う必要が生じたため。次年度使用額は、試料分離に用いる消耗品購入のための物品費や得られた研究成果発表のための旅費に用いる。
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