2016 Fiscal Year Research-status Report
位相幾何学的手法を用いた廃棄物埋立層の間隙構造と流体の相互作用の解明
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16K00594
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
鈴木 和将 埼玉県環境科学国際センター, 資源循環・廃棄物担当, 専門研究員 (70379824)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パーシステントホモロジー / 数値シミュレーション / 廃棄物最終処分場 |
Outline of Annual Research Achievements |
廃棄物の研究において、埋立地からの浸出水やガスの量を予測し、制御するというのは埋立地の設計及び管理における最重要課題である。これらの流体の流動挙動は、埋立層の幾何構造と密接な関係があり、間隙内での渦の発生や界面張力等の効果として流動挙動に大きく影響を及ぼしているものと考えられる。しかしながら、このような間隙の幾何構造を引き出すことは容易ではなく、間隙部分のどのような構造が流体特性を支配しているのか明らかではない。そこで、本研究では、パーシステントホモロジー群という位相幾何学の道具を用いて、廃棄物埋立層間隙の特徴的な情報を抽出することにより定量化を行い、この幾何構造と流体挙動との関係を調べることにより、埋立地における浸出水・ガスの正確な予測制御の実現を目的としている。 平成28年度は、以下のような研究を行った。 (1) 埋立層間隙内流れの数値シミュレーションを行った。支配方程式として、連続の式、非圧縮性Navier-Stokes方程式及び水分量移動の式を用い、差分法によって解析した。表面張力を流体の運動方程式に組み込むとともに、移流の計算にCIP(Cubic Interpolated Profile)法を用い、自由表面問題に対して精度良く数値シミュレーションを行うことができる手法の検討を行った。 (2)(1)の多相流数値シミュレーション手法の検討を進めていく中で、差分法では解析困難な事例が生じてきた。そこで、間隙のような複雑な形状にも容易に適合できる有限要素法を用いた間隙内流れの数値解析について検討を行い、3次元飽和流解析コードを作成した。 (3)マイクロフォーカスX線CT装置を用いて撮影した廃棄物埋立層内部画像データを画像処理することにより3次元モデリングを行い、構造解析の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していなかった有限要素法による数値解析手法の検討と計算コードの作成に手間取り、位相幾何学的手法の検討については準備を行うにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
パーシステントホモロジー群等を用いた間隙の幾何構造の定量化及び位相幾何学手法について検討を行う。さらに、流体解析においては、初年度作成した有限要素法のコードをベースにCIP法による多相流数値シミュレーションの開発を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、計算用ワークステーションの購入を予定していたが、数値シミュレーション手法の開発が遅れたため、平成28年度中には購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度には、ワークステーションを購入して、数値シミュレーションを行う予定である。
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