2016 Fiscal Year Research-status Report
環境にやさしいリンおよび重金属の高効率回収法の構築
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16K00599
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
狩野 直樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00272857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 洋 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80126391) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 吸着剤 / リン回収 / 重金属除去 / ハイドロタルサイト / 有機-無機ハイブリッド材料 / 吸着反応メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,効率の良いリンおよび重金属の除去・回収の開発に主眼を置き,主として下記のような実験を行った。 (1) 無機イオン交換体(ハイドロタルサイト)の合成:原料物質である金属2・3価(Mg, Alイオン等)の種類やモル比を変化させ,また4価(Zrイオン)の導入により,層の化学的性質・電荷密度,層間距離の異なる種々のハイドロタルサイト(LDHs)の合成を行った。重金属除去用には,EDTAおよびEDDSのキレート剤を層間挿入した材料を作製した。 (2) 合成吸着剤の特性評価:走査電子顕微鏡(SEM),X線回折 (XRD)や赤外スペクトル解析(FT-IR),元素分析(C, Nの定量),熱重量-示差熱分析(TG-DTA),比表面積測定(N2-BET)を行った。 (3)重金属・リンの回収:pH,振とう時間,温度,初期濃度,吸着剤の物質量や共存イオンの影響等の条件を変化させながら行い,吸着・捕捉に関する最適条件を決定した。得られたデータを,吸着等温モデル式や反応速度式に適応し,吸着メカニズムや速度論的考察を行った。 その結果,主として以下のことがわかった。(1)ハイドロタルサイトによるリン吸着は,Zrイオンの導入により,吸着性能が上昇した,(2)リン吸着は温度依存性が高く,35℃で最も高い吸着量を示した,(3)海水条件下でリン吸着実験を行った際,80%以上の吸着性能が見られた,(4)リン脱離実験において用いた溶媒において,0.1M NaOH溶液が最適であった,(5)EDTA-LDHは,重金属の有用な吸着剤となりうる,(6)重金属における吸着等温線は,Freundlich吸着等温線に十分に適応した,(7)重金属吸着速度は,擬二次反応に適応した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のハイドロタルサイトを創製して,特性評価とともにリンや重金属等の除去・回収の基礎実験を行った。特に重金属除去については,有機-無機ハイブリッド材料として,キレート剤を層間挿入したハイドロタルサイトの他に,シリコン有機ポリマーも新たに吸着剤として使用した。 当初予定していた研究をほぼ行い,国内外の学会で複数の成果発表を行うとともに,学術論文に合計で6報発表するなど十分な成果が得られたので。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた知見・成果に基づき,より実用化に向けた研究を行う。具体的には,ハイドロタルサイトの合成における条件などを再検討して,排水試料等中のリンおよび重金属の除去・回収における処理能力や効率を向上させることを目指している。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた消耗品(試薬)の一部について,今年度は現有のもので対応できたので,若干の当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の試薬は次年度早々に購入する予定である。次年度は2年目で,備品よりも消耗品(器具類・試薬など)の購入が中心になるが,年間を通してコンスタントに購入・使用する予定である。
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