2016 Fiscal Year Research-status Report
貝殻が有する黄鉄鉱の風化抑制機能を利用した海成堆積物の低コスト汚染対策手法の開発
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16K00605
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
石山 高 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 主任研究員 (80297621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八戸 昭一 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 主任研究員 (70415397)
濱元 栄起 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 専門研究員 (40511978)
渡邊 圭司 埼玉県環境科学国際センター, 水環境担当, 主任 (50575230)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海成堆積物 / 長期汚染リスク / 貝殻 / 黄鉄鉱 / 風化抑制効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本各地で海成堆積物由来の土壌汚染が大きな環境問題となっている。この土壌汚染では、海成堆積物に含まれている黄鉄鉱が風化する過程で硫酸が生成し、海成堆積物が酸性化することで様々な有害重金属(鉛、カドミウム、ヒ素など)が溶出する(長期汚染リスク)。本研究では、アルカリ天然素材が有する黄鉄鉱の風化抑制機能に着目し、低コストで環境負荷の少ない海成堆積物の汚染対策手法を開発した。 平成28年度では、黄鉄鉱の風化抑制剤としてホタテ貝の貝殻(主成分:炭酸カルシウム)を適用し、風化実験(35℃:湿潤条件)の結果から風化抑制効果を評価した。風化実験の結果、ホタテ貝の貝殻は黄鉄鉱の風化抑制剤として有効に機能し、海成堆積物に貝殻を2.5wt%以上添加することで海成堆積物の風化を抑制することができることが分かった。実験室内の他、屋外でも風化実験を行い、自然環境下における風化抑制効果も確認した。希硫酸を用いる土壌溶出量試験の結果から、長期間降雨に曝されても貝殻による黄鉄鉱の風化抑制効果は維持し続けることが判明した。貝殻は海成堆積物中におけるヒ素及びカドミウムの存在形態を残渣態として維持し続ける効果も有するため、これら有害金属の潜在的な溶出リスクを大きく抑制できることも明らかとなった。 次年度は、海成堆積物に貝殻及び各種不溶化剤を添加し、長期及び短期リスクの同時抑制手法について検討を試みる。また、貝殻による黄鉄鉱の風化抑制メカニズムについても解析を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度で、海成堆積物の長期汚染リスク対策手法を開発するとともに、黄鉄鉱の風化抑制剤の選定、風化抑制剤の最適添加率、実験室内及び屋外での適用性などについて研究成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、海成堆積物にホタテ貝の貝殻片と様々な不溶化剤を添加し、風化実験を通じて長期及び短期汚染リスクの同時抑制効果について検討を行う。
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Causes of Carryover |
次年度(平成29年度)、埼玉県内の複数箇所で海成堆積物のボーリング掘削を予定している。ボーリング掘削に要する費用を十分に確保するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(平成29年度)に実施する海成堆積物のボーリング掘削費用として繰越金を活用する。
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