2018 Fiscal Year Research-status Report
FeS2/H2O/O3反応系における難分解有機化合物の酸化分解
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16K00606
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原 淳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (40374996)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 土壌汚染 / 原位置浄化 / 酸性化土壌 / 環境修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、芳香族化合物の汚染サイトに対し、二硫化鉄を酸化剤として用いた化学的酸化分解能を評価し、現地で用いることの反応阻害要因および安全性評価の実施を目的としている。原位置で本手法を用いた場合、汚染物質は分解するものの土壌の酸性化が生じる懸念がある。本年度は浄化処理後の土壌環境影響を評価するため、懸念される複数の元素項目について、生態系への負影響の有無、さらに土壌緩衝能、微生物修復機能を計算モデルにより評価し、以下の事を明らかにした。 ・二硫化鉄を用いた方法では、土壌の緩衝作用、微生物による硫酸還元反応により、石灰による中和処理を行わなくても、十分に自然修復可能な酸性化反応領域で分解反応が生じることが推察された。 ・還元剤投与による短時間での中和処理でも土壌環境を修復することは可能であるが、二硫化鉄による反応では、蓄積された中間生成物を利用した継続的な浄化サイクルを構築可能であり、中和剤を用いた処理は向かないと判断された。 ・多硫酸塩による浄化処理では、硫酸還元反応や緩衝作用による自然修復が困難であり、従来通り、化学的中和処理が最適である。ただ、透水性の高い土壌サイトを処理する際は、修復処理範囲を狭めるため、浄化処理前の時点で酸性化領域を限定するよう周辺に中和剤を施工するなど、環境修復まで見込んだ施工の必要性が明らかとなった。 以上から、多硫酸塩による手法は反応性が高く、短期的に浄化が可能ではあるが、汚染物質の浄化のみでなく、最終的な生態系も加味した土壌環境修復を加味すると二硫化鉄を用いた手法が原位置浄化には適していることが検証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、本年度微生物試験を実施し、最終年度に数値計算により本手法による現場適用時のリスク評価を実施する予定だったが、適当な微生物検体の入手に遅延があり、既存の研究結果より予測した数値計算モデルにより現場のリスク評価を実施し、最終年度に微生物試験を実施して実挙動の検証を行うこととした。 全体的な進捗としては概ね順調に推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度として、計算数値モデルと同様の結果が得られるか、酸性化処理後の土壌緩衝作用、微生物による中和能について検証を行う。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、最終年度に浄化処理後のリスク評価を実施する予定であったが、浄化後の土壌環境修復に関する微生物試験を本年度中に実施するのが困難であったため、最終年度の数値計算と本年度実施する微生物試験スケジュール入れ替えて実施した。そのため、最終年度に要する研究費と本年度必要とした研究経費が逆転し、次年度必要な分を繰り越すこととなった。
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Research Products
(12 results)