2017 Fiscal Year Research-status Report
海洋漂流マイクロプラスチック削減を目指す海洋環境時限分解性高分子材料創製
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16K00608
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
粕谷 健一 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (60301751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 熊野 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (60504024)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 海洋 / 生分解性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋中からの各種生分解性高分子分解菌のスクリーニング:引き続き、分解菌のスクリーニングおよび菌の同定を行った。 海洋性生分解性高分子分解菌の分解酵素遺伝子クローニング:P(3HB)およびPCLを分解する海洋性細菌の分解酵素遺伝子のクローニングを検討した。P(3HB)分解酵素は,遺伝子構造解析より海洋性の典型的な分解酵素のホモログであることがわかった。分解細菌種を同定にしたところ,海洋性放線菌で今まで報告例がないものであることが判明した。また,併せて汽水域からもP(3HB)分解細菌を単離したところ,海洋性と陸生性の両方の特徴を有する放線菌を単離した。本菌は,低い縁濃度から海洋塩濃度までで,高い増殖速度を示した。 海洋環境中での高分子フィルム表面状で形成されるバイオフィルム菌叢構造解析を行い,その類似度の有意性をPERMANOVA (PERMUTATIONAL MURTIVARIATE ANALYSIS OF VARIANCE)で判定したところ,P(3HB)グループ,その他の生分解性高分子グループ,非生分解性高分子グループが存在することがわかった。各種高分子フィルム状に形成されたバイオフィルムのメタゲノムから得られた情報より,KEGGデータベースを用いて機能解析したところ,非分解性高分子フィルム上で,加水分解酵素群の増加が確認された。一方で,生分解性高分子上においては,海洋の浮遊微生物群と比較してそれほど大きな変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度,ずれ込んだメタゲノム解析は,昨年度には終えることができ、解析するこことができた。また、これらのデータにもとづき、多様性解析や機能解析なども併せて行い、バイオフィルムの構造のみならず性質も推定することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋中での時限分解生分解性高分子材料の創製:前年度までの研究結果、および今までの我々の知見から得られた海洋環境中では生分解性が不活性な材料:例えばPESuなど(粕谷らPolym. Degrad. Stab. 1998, 59, 327)を基材として用いて、芽胞形成菌種を利用することにより、その表層の微生物叢を積極的に制御し、海洋環境中での時限分解可能な材料創製を目指す(粕谷、橘ら 特許第6310843号)。
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Causes of Carryover |
昨年度内に行われる実験に一部で使用される予定であった消耗品費に一部が未使用であったため。本年度行われる予定。
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