2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00609
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
和嶋 隆昌 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00380808)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 硫黄担持炭 / バイオマス廃棄物 / リサイクル / 重金属除去能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、バイオマスを硫化物イオン溶液に浸漬し熱分解することで得られる硫黄担持炭の特異的な重金属吸着能の発現メカニズムとその重金属吸着メカニズムを明らかにすることである。本年度は、「硫黄の浸漬処理が硫黄担持炭の物性に及ぼす影響」に関する研究を実施した。 試料としてバイオマスの主成分であるセルロース粉末を用いて、3種類の硫黄溶液(Na2S, K2S, NaHS)を0 - 1 mol/Lに調製し、粉末を200mLの溶液に12時間浸漬した。浸漬後、濾過・乾燥し各条件における浸漬物を作成し、電気管状炉を用いて熱分解処理を行った。熱分解処理は窒素雰囲気下において400oCで1時間加熱し、加熱後、窒素雰囲気で室温まで冷却した後に回収した炭化物を水洗・乾燥することで硫黄担持炭を作成した。各条件で得られた硫黄担持炭を用いて10 mmol/Lの硝酸ニッケル水溶液からのニッケル除去能を調べた。 結果、すべての溶液で浸漬後もセルロース構造が残り、熱分解により非晶質化した。浸漬に用いる硫黄濃度の増加に伴い、硫黄担持炭のニッケル吸着能は増加しNa2Sに浸漬した硫黄担持炭が最も高い吸着能を示した。走査型電子顕微鏡で観察した結果、Na2Sで浸漬した硫黄担持炭では多孔質粒子が生成していることを確認した。また、硫黄担持炭によるニッケルの吸着の前後で硫黄化合物の鉱物ピークは確認されなかった。ニッケル吸着後の硫黄担持炭を窒素雰囲気下で還元加熱処理をした結果、金属ニッケルが硫黄担持炭の表面に析出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の再現性を保つための手順や方法など試行錯誤することが多く、うまく評価できる実験条件を整えるために時間を要したが、概ね順調に研究が進んでいる。特に、ニッケル吸着後の硫黄担持炭の還元処理によるニッケル金属の析出はこれまでに知見のない結果であり、次年度以降で詳細を調べていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
硫黄の浸漬処理が硫黄担持炭に及ぼす影響が明らかとなり、Na2Sが有効であることがわかった。今年度は、Na2Sの浸漬物を用いて熱分解処理における加熱温度、加熱時間、ガス雰囲気(N2, CO2)が硫黄担持炭の物性に及ぼす影響を調べる。また、今年度は、得られた硫黄担持炭のニッケル以外の各種重金属イオン(Zn, Cu, Pb, Cdなど)への吸着能も考察する予定である。
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Causes of Carryover |
28年度に台湾の国際会議で発表する予定であったが、実験結果の再現性を確認するために時間がかかり、発表を断念したため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、国際会議での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(4 results)