2018 Fiscal Year Annual Research Report
Recovery of multiple metals using biogenic manganese oxides with enzymatic activity
Project/Area Number |
16K00615
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 幸則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10285190)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオマンガン酸化物 / レアメタル / 回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
レアメタルの需要が増えており、微生物を用いた効率の高い回収手法が検討されてきている。真菌が形成するマンガン酸化物(BMO)は、様々な元素を高い効率で吸着できるため、排水等からの多元素同時回収が期待される。本研究では、真菌によるMn(Ⅱ)酸化特性を明らかにし、酸性側で高い活性を示した菌株によるレアメタルの高い効率の回収システムの構築を目的とした。吸着特性を調べた。静岡県内から単離したMn酸化真菌10株について、調べたところ、Mn酸化のpH依存性は多様であることが示された。特にpH5.5では、Pleosporales目KK1-2株によるMn2+の酸化速度が最も速かった。また、KK1-2株によってあらかじめBMOを形成させることで、Mn(Ⅱ)酸化活性を高く維持できることが示された。KK1-2株由来のBMOは、他の真菌由来のBMOよりも、BMOへの各イオンの吸着率が高く、BMOからのMn2+の溶出量が少なかった。この結果から、KK1-2株のBMOでは吸着態Mn2+の割合が低く、Mn2+と各イオンとの吸着競合が生じにくいことが推測された。本研究により、KK1-2株は酸性側で効率よくMn2+を酸化でき、形成したBMOを酸性排水からのレアメタル回収に応用できる可能性を見出した。また、特に最終年度は、以前より継続的に研究をおこなってきているKR21-2株によるレアメタルの回収機構について、希土類元素イオンの共存によるMn酸化能の効率の増加効果、BMOの形成過程におけるBa2+イオンの不可逆的な取り込み過程、レアメタル(特に亜鉛イオンとヒ酸イオンの共吸着による回収効率の大幅な増加効果などを見出し、これらのBMOに特徴的に生じる相互作用についての機構の解明を試みた。
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