2019 Fiscal Year Annual Research Report
Herbaceous plant species diversity in paddy fields under traditional rice cultivation in Laos
Project/Area Number |
16K00634
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水田稲作 / 野生草本植物 / 植物多様性 / ラオス |
Outline of Annual Research Achievements |
アジアで広大な面積を占める水田は、主食である米を生産する場でありながら、多様な生物を育む場として知られる。世界中で淡水湿地の環境改変がすすむなかで、湿地生物の生息地としての水田の重要性が指摘されている。本研究の目的は、東南アジアの水田において、農作業によって維持される水田環境と野生草本植物の生活史との関係、周囲の土地利用と比較した水田の外来植物相、水田の野生草本植物を移植・栽培する事例を調査し、人為のもとでの植物多様性維持機構を解明することである。研究4年目となる2019年度には、2019年8月1日から8月10日までラオス中部ビエンチャン県、2019年8月13日から8月24日までベトナム南部メコンデルタにおいて、水田植生と植物資源利用や、市場で販売される野生植物の調査を行い、メコン川流域における広域比較を行った。ラオスのビエンチャン県では水田で採集されるツボクサやシソクサの仲間は、ベトナムのメコンデルタでは一般的な野菜として栽培されていた。その背景として、メコンデルタでは米の市場価格の低下により、水田稲作から野菜・果樹栽培への転換がすすむことや、カントー市やホーチミン市などの大都市での需要の大きいことが推察された。両地域では利用されるシソクサの種類が異なり、ビエンチャン県ではLimnophila geoffrayiが採集され、メコンデルタではLimnophila chinensisが栽培されていた。メコンデルタでは、ラオスにはみられない、水田や水路脇に野生するSesbania javanicaの黄色の花が採集され、炒め料理の材料とされていた。メコンデルタの市場では、販売される水田や湿地の野生植物として、オトメアゼナ、キバナオモダカ、ケミズキンバイ、スイレン(花茎)、ミズオジギソウなどが確認された。
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Research Products
(6 results)