2018 Fiscal Year Annual Research Report
Food web structure supporting ecosystem function of mangrove forest: Comparison between the northernmost and sub-tropical area
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16K00635
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 智子 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (80305169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 寿朗 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60343331)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マングローブ / 生態系機能 / 食物網 / 底生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
安定同位体解析の結果から、亜熱帯域(奄美大島)のマングローブ林における底生生物の食物網構造を構築し、前年度までに明らかになった鹿児島市喜入町に広がる北限のマングローブ林の食物網構造と比較した。喜入で採集した底生生物サンプル、及び落葉、樹木上の藻類、落葉上や底質上の微細藻類など、マングローブ食物網において生産者となり得る植物について、炭素と窒素、及び硫黄の安定同位体解析を行ったところ、多くの底生生物が、マングローブ植物の落葉を利用しておらず、藻類など海域起源の有機物を利用していると考えられた。一方で、奄美大島のマングローブ林では、底質上の有機物はマングローブ由来である可能性が高く、堆積物食を行う底生生物の炭素安定同位体比からも食物的にマングローブに依存していることが示唆された。同時に、植物プランクトンなど海域起源の有機物も利用していると思われた。また、窒素の安定同位体比から、北限のマングローブでは、人為起源の有機物をより摂餌していると推察された。このことから、マングローブの北限に位置する喜入マングローブ林では、マングローブが底生生物の食物源としての役割を果たしておらず、生息場所提供の機能のみを果たしていると考えられる。このような、マングローブ植物本来の役割を果たしていない要因として、マングローブ植物を破砕あるいは消化できる動物の不在が考えられる。温帯域のマングローブ生態系では、マングローブ植物には生産者としての役割は少なく、主に生息場所提供する役割を果たしていると考えられる。以上の結果を、9月に行われた日本プランクトン学会・ベントス学会合同大会、3月の日本生態学会全国大会において発表するとともに、学術論文、著書でも発表した。
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Research Products
(6 results)