2017 Fiscal Year Research-status Report
開発の進む東南アジア熱帯の地域社会における生態系サービス利用量の決定機構の解明
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16K00641
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
竹内 やよい 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (50710886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 弘光 公益財団法人地球環境戦略研究機関, 自然資源・生態系サービス領域, リサーチマネージャー (80594192)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 生態系サービス / ボルネオ / サラワク / 先住民 / 断片林 / 生物資源 / 水資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生態系サービスとして、生物資源と水資源を対象とし、開発の需要と供給への影響を考慮して生態系サービスの利用量の決定機構を解明することを目的としている。対象地域は、マレーシア・サラワク州の開発が迫る2地域とする。本年度は主に動物の種多様性調査と昨年度に取られた植物種多様性調査のデータ解析を行った。
①生物資源:動物多様性の現状把握 対象地域内の保存林(2地域、7, 8森林)において、それぞれの地域で20、23台のカメラトラップを設置して生息する動物種を観察した。結果、各地域において有効なカメラ稼働日数は合計5902、10763日・カメラであり、それぞれ合計28、21種類の哺乳動物(げっ歯類を除く)を観察した。どちらの地域でも、ブタオザル、ヒゲイノシシの個体数が多かったが、森林性の動物(マレーグマ等)も観察された。また、稀ではあるが絶滅が危惧されているボルネオヤマネコ、センザンコウなども観察された。統計解析の結果、周囲の森林率が低いほど種多様性が高かった。特に、地上性動物種、体サイズの小さな動物種でその傾向が強く、分散能力などが関連していることが考えられた。 ②水資源 生物資源の調査対象地において、地域の人々が生活用水として利用する水源(大河川(濁度は高いが一年を通して枯渇はしない)、保存林内の小さな河川(濁度は低いが乾季に枯渇する場合あり)の水質の変動を明らかにするため、昨年度に引き続き2回サンプリングを行った。保存林からの水野利用量については、1村において数日間超音波流量計を設置して利用される水量を予備的に計測した。朝や夕方の時間に利用は多くなるという予想されたパタンがみられ、また日単位の総量なども明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、①生物資源については、対象地域内の保存林において樹木と動物の種多様性の観側を行うこと、②水資源について、大河川と保存林内の小さな河川の水質の変動を明らかにするためのサンプリングを計画しており、これらはおおむね順調に進行しているといえる。平成30年度はそれぞれのデータ解析を進める予定である。水資源の利用量につては予算の関係で縮小して調査を行い、そのデータをもとにパラメータとして研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
①生物資源 生物多様性の調査がほぼ完了したので、過去の森林率、森林のコネクティビティなどの要因が、現在の種多様性にどのように影響しているかを統計解析によって明らかにする。特に、植物・動物で種多様性と森林率との相関に傾向に違いがあることが考えられるため、。また、生物資源の利用状況や需要などの観点を含めた解析も行い、生物多様性と利用の関係も明らかにする。 ②水資源 水質の変動のデータも複数年でサンプルし終わったことから解析を進めて、保存林からの生活水の相対的重要性を評価する。超音波流量計は有効であることが予備調査から確認されたが、レンタル料が高額であるため、今年度の予備の結果をパラメータとして用いることとして対応したい。 上記の解析をもとに、それぞれの生態系サービスの需要と供給の関係性について明らかにし、比較を行う。
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Causes of Carryover |
物品購入を切り詰めた結果2,337円を余分がでて翌年に繰り越すこととなった。H30年度の論文投稿のための費用に使いたい。
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[Presentation] Forest canopy structure analyzed by UAV-SfM: toward understanding the relationship between forest structure and species diversity2017
Author(s)
Takeuchi, Y., Pingchun, Saigusa N., Hayashi M., Niiyama K., Sato T., Okuda T., Omar H. , Norizan A. M
Organizer
The 12th International Congress of Ecology, Beijing, China
Int'l Joint Research
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