2017 Fiscal Year Research-status Report
海洋微細藻類を利用した資源循環型物質生産技術の開発
Project/Area Number |
16K00652
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 尚志 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (50640900)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 海洋性珪藻 / ゲノム編集 / イソプレノイド / 代謝工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、接合伝達を介した遺伝子導入によるゲノム編集技術の構築を通じ、海洋性珪藻類の有用物質生産宿主への応用を目的としている。昨年度までに、珪藻プラスミドを用いたTALENゲノム編集システムの適用を目的とし、珪藻細胞内でプラスミド保持に必要な複製配列、および大腸菌の接合伝達に必要な配列を連結した新規発現プラスミドの構築、ならびに大腸菌接合伝達系による珪藻へのプラスミド導入によりピリミジン生合成関連酵素(PtUMPS)遺伝子のノックアウトを試みた。その結果、プラスミドを保持する複数の形質転換珪藻株の取得に成功した。 H29年度は、取得した形質転換株についてウラシル要求表現型を指標としたスクリーニングを行うと共に、珪藻細胞からのキュアリングによるプラスミド脱落条件の検討を行った。スクリーニングの結果、ウラシル要求性を示す株が取得できなかったが、これはTALEN可変領域中の遺伝子変異が原因であることが示された。そこで可変領域部分を修正したベクターを再構築し、再度珪藻細胞への導入、および形質転換株のスクリーニングを行った。その結果、ほとんどの形質転換株においてウラシル要求性の表現系を示したことから、目的遺伝子がゲノム編集されていることが予想された。現在、目的遺伝子切断部位の解析を進めている。次に、導入プラスミドの脱落条件の検討を行った。その結果、得られた形質転換株を非選抜液体培地にて培養後、寒天培地にて再度培養をすることによりプラスミドキュアリング株を取得することに成功した。キュアリング効率は約20%であったが、条件検討により効率向上は可能であると推察された。さらに、キュアリング株へのプラスミド再導入の結果、一回目の遺伝子導入時と同様の形質転換効率で目的プラスミドを保持する形質転換株を取得することができた。したがって、本系を利用した多重遺伝子改変ができる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度は、本テーマで最大の課題と考えていたプラスミドキュアリング条件を見つけることができた。これにより、今後は多重遺伝子改変の取り組みを行うことが可能になり、概ね当初の計画通り、あるいはそれ以上の進展が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、ゲノム編集株の解析、特に切断部位についての解析をより詳細に行う必要があると考えている。また、カロテノイド等の合成遺伝子を対象に、多重遺伝子改変条件の検討も進めていく。
|
Causes of Carryover |
理由:国際学会における出費が予想以上に少額であり、繰越分の金額を使用する必要が生じなかったため 使用計画:H30年度は多重遺伝子改変等を予定しており、分子生物関連試薬の出費増加が予想される。そのため、繰越分は消耗品購入に充てる。
|