2018 Fiscal Year Research-status Report
海洋微細藻類を利用した資源循環型物質生産技術の開発
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16K00652
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 尚志 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (50640900)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海洋性珪藻 / ゲノム編集 / イソプレノイド / 代謝工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、PtUMPS遺伝子をターゲットとしたゲノム編集による遺伝子ノックアウト、キュアリングによるプラスミド脱落、ならびにプラスミド再導入が可能であることが示され、本系を利用して多重遺伝子改変ができる可能性が示唆された。H30年度は、PtUMPS遺伝子破壊部分の詳細解析を行うとともに、キュアリング株を対象に再度ゲノム編集を行うことで二重遺伝子欠損株の作出を試みた。 まず、PtUMPS破壊株4株を対象に、破壊部分の詳細解析を行った。その結果、目的とする遺伝子領域にて、数bpから数十bpのインデルが確認されたことから、TALENによるゲノム編集が当初の目的通り行われていることが示された。また、ゲノム編集効率は60%であり、既報の珪藻のゲノム編集効率と同程度であった。 次に、ターゲット遺伝子として細胞外分泌型のアルカリフォスファターゼ(PtAPase)を選び、TALENに代わりCRISPR/Cas9によるゲノム編集を行うこととした。これに当たりまずは呈色基質X-phosphateを用いた簡便なスクリーニング法開発を試みた。その結果、対数増殖期中期の細胞において培養液および細胞共に明瞭な呈色を示し、酵素活性によるスクリーニングが容易に行えることが示された。次に、PtAPase遺伝子の標的配列を基にCRISPR/Cas9プラスミドを構築し、これをPtUmps破壊株に導入したところ、複数の形質転換珪藻株を取得することができた。このうち任意に10クローンを選抜し、定常期まで液体培養を行った後、培養液を用いて簡易APaseアッセイを行った結果、4クローンにおいては青色の呈色が見られず、細胞外APase活性を失っていることが推察された。今後はこれらのクローンについて詳細な細胞外APase活性測定、ならびにターゲット配列部分のシーケンス解析を行うことにより、PtAPase遺伝子欠損の有無について評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は、二重遺伝子破壊株の作出を行うことで、これまでに構築したゲノム編集システムが多重遺伝子改変に利用できることを示した。これにより、今後は当初の目的であるカロテノイド合成遺伝子への適用も可能となったことから、概ね当初の計画通りの進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、PtAPase遺伝子破壊株の詳細解析を行う予定である。また、複数のカロテノイドの合成遺伝子を対象にしたTALENまたはCRISPR/Cas9による遺伝子破壊と表現型解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
理由:学会旅費における出費が少額であり、繰越分の金額を使用する必要が生じなかったため 使用計画:次年度は最終成果発表や研究集会等による消耗品および旅費増加が予想されるため、繰越分は消耗品および旅費に充てる。
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