2016 Fiscal Year Research-status Report
新規前処理法による低品位バイオエタノール水蒸気改質反応における炭素析出の抑制
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16K00656
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| Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
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Principal Investigator |
山崎 達也 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (60174653)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | エタノール水蒸気改質反応 / バイオエタノール / 炭素析出抑制 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
Co/CeO2触媒によるエタノール水蒸気改質反応における問題点として，低S/C条件下での炭素析出がある．炭素析出を効率的に抑制するためには，活性サイトの状態と改質反応機構との関係を明らかにしていく必要がある．本年度は，Co/CeO2触媒における炭素堆積抑制のための基本情報を取得するため，Co/CeO2触媒に種々の金属を添加した触媒を調製し，773K，S/C = 4.5の条件でエタノール水蒸気改質反応を行った．純エタノール改質におけるH2生成率は，AgおよびZn添加触媒を除いていずれもベース触媒を下回った．とくにAuやW添加触媒の活性が低かった．AgおよびZn添加触媒はベース触媒より高い水素生成活性を示したが，含炭素生成物分布の違いから，H2生成向上の機構が異なっていると考えられる．すなわち，Zn添加触媒では，ガス化反応全体の促進がH2生成率の向上の原因だが，Ag添加触媒ではCH4生成の抑制とCO2選択性の向上がその主な要因となっていると言える．バイオエタノールを反応物とした場合には，いずれの触媒とも反応開始直後からH2生成活性の経時的低下が認められた．MoやW添加触媒でもH2生成活性は大幅に低下し，活性がベース触媒を上回ったのはZn添加触媒のみであった．Ag，W，MoおよびAuで修飾した触媒では，反応中の炭素析出が抑制された．堆積した炭素種は現在調査中であるが，金属の添加がCo活性サイトを物理的あるいは化学的に改質したことにより炭素析出機構が変化した可能性を示している．バイオエタノールを反応物とすると炭素析出が抑制された．炭素析出抑制機構は明確でないが，バイオエタノール中の不純物の影響と考えられる．金属添加による炭素堆積抑制はバイオエタノールを反応物とした際にも認められたことから，炭素析出抑制効果が相加的であることが示された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体として当初計画に対する達成度はやや遅れている状況である．
種々の金属を添加した触媒の反応特性と炭素析出特性の検討は一通り完了したが，その触媒化学的検討がやや難航している．たとえば，堆積炭素種の詳細は，熱重量分析による総量分析は実施できたが，機器分析を必要とするそれらの科学的分析に関しては十分に実施できなかった．また，金属元素の添加効果についても反応論的な考察はある程度進展しているが，電子論的な考察には至っていない．これは，予定していた大型分析機器(XPS，XRD)の利用が故障や相手先大学の都合により比較的長期間利用できなかったことに加えて，触媒調製の方法論を十分に最適化できなかったためである．現在は触媒調製のレシピを再検討し，統一的な調製だけでなく，添加金属の特性に合わせた調製法の確立を進めている．
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| Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き，Co/CeO2触媒のエタノール水蒸気改質反応における低S/C条件下での炭素析出抑制のための基本的情報を蓄積するため，活性サイトの状態と改質反応機構との関係を系統的に明らかにしていく予定である．今年度は，利用先の事情も考慮しながら早い段階から，大型分析機器による触媒金属の電子状態解析を積極的に利用する予定である．またそれに加えて以下の点を明らかにすることを予定している．
1.従来は金属種の添加による効果を中心に研究を進めてきたが，バイオエタノールに含まれる不純物を中心に非金属による修飾も試みる．
2.様々な修飾に伴う炭素生成抑制効果ならびにそれと密接に関わっているメタン生成機構について反応化学的に系統的に検討する．
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| Causes of Carryover |
東北大学等への、調製した触媒および反応後触媒等の分析が，先方の機器の故障やそれに伴うスケジュール調整のため減少したことによる経費の減少と，それらの分析結果に基づいて進める予定だった触媒調製とその最適化が深く進展しなかったことが，当初予算を経費が下回った主な理由である．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
機器分析依頼については今年度も時間調整の必要があるが，触媒の調製は進んでおり早急に分析依頼を実施する．新たに調製した触媒および，昨年度に実施できなかった分析を含むので、依頼に関わる経費が増加する見込みである。また、昨年度実施できなかった触媒調製・触媒反応試験の再試行の必要から，今年度も予算策定時以上に実験補助のための人件費が必要となる可能性がある．加えて、その実験・試験等を効率的に進めるため、反応に関わる機器を増設する経費として利用する予定である．これらの経費のため，今年度は当初予算よりやや多くの支出が見込まれ，それに充当するために繰越予算は利用する予定である．
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Research Products
(1 results)
