2016 Fiscal Year Research-status Report
使用済み小型家電の高度再資源化技術開発のための基礎的研究
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16K00664
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
葛原 俊介 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (60604494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小型家電 / 金属リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
TBBPA、フェノール樹脂の含有した集積回路(IC)の加熱時における有機化合物の定性的な把握および金属の散逸状況の把握を目的としてTG-DTAにより室温~1000 ℃までの熱的挙動を調査した。また、700 ℃で加熱分解試験を行い、排ガスと固体残渣成分をGC/MSおよびICP-MSにより分析して、発生する有機化合物とAu、Cu散逸状況の調査を行った。 TG-DTA分析では700 ℃加熱試験後IC試料のAr雰囲気における重量減少率は18 %、He-O2雰囲気では16 %であった。一方、電気炉で加熱試験後、不活性雰囲気では重量が13.4 %、酸化雰囲気では13.6 %減少した。 ICP-MS分析では加熱試験前後のAu、Cu濃度を比較した。加熱前のIC試料ではCuは7.9 wt%、Auは2052 ppmであったが、加熱後試料のAr雰囲気で1.1 wt%、1791 ppmであり、Ar-O2雰囲気で1.1 wt%、2020 ppmであった。Cuは両雰囲気において全体の88 %が揮散し、AuはAr雰囲気で24 %、Ar-O2雰囲気で15 %が揮散した。 GC/MS分析では雰囲気ごとのクロマトグラムピーク総面積値を算出したところAr雰囲気で3.7×10^9、Ar-O2雰囲気で4.1×10^9であったため雰囲気に関わらずほぼ同量の有機化合物が検出されたと考察とした。検出化合物はクロマトグラムピーク総面積値を100 %とし、それぞれのピーク面積比を算出することで半定量的に評価した。IC試料加熱時に発生する主な有機化合物はX-MethylphenolやX,Y-Dimethylphenolなどのフェノール構造を有する化合物であり、Ar雰囲気で55 %、Ar-O2雰囲気で59 %を占めていた。 その他、リチウムイオン二次電池に関しても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ハロゲン揮発法を用いた金属回収 今年度は試料加熱時における金属の分配のみならず有機化合物の発生挙動について検討を行い、ほぼ計画通りに進捗した。
・使用済みリチウムイオン二次電池の適正処理方法の確立と金属資源価値評価 適正処理方法を確立して、安全にリチウムイオン二次電池の分解を行うことができた。 さらに、20年分の電池の解体・分析を行い、年代別の金属使用量(資源価値)を評価することができ、計画以上の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・ハロゲン揮発法を用いた金属回収 今年度はICチップについて検討をしたが、今後、廃基板に着目して同様な検討を行う。さらに、ハロゲンの分配挙動についても定量的評価を行う。
・熱力学計算によるレアメタル類の臭素化反応に関する検討 熱力学計算ソフト「FactSage」および「HSC Chemistry」を用いてレアメタル類の臭素化反応に関してシミュレーションを行う。さらに、実験結果と計算結果を比較・検討することにより、レアメタル回収に関する実プロセス適用に必要な条件決めを行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたが、金額もわずかであるので、順調に使用している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り使用する予定である。
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