2016 Fiscal Year Research-status Report
東アジア地域における包括的越境大気汚染防止環境行動計画策定に向けた研究
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16K00676
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
青 正澄 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (00464157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 研 一般財団法人日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター, 情報管理部, 部長 (80470152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 越境大気汚染 / 東アジアモニタリングネットワーク / 健康被害 / 汚染負荷量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東アジア地域の都市の発展や環境汚染・自然災害に伴う環境破壊の影響を最小限に留めるために、横浜市と川崎市の温暖化対策を中心とする環境政策・取組に関する知見と、同地域に立地する企業の環境技術や対策のノウハウを調査・分析し、情報整理を行い、同地域が果たす国際協力の可能性について検討するに資する資料の作成を行うことを目的として横浜市立大学とアジア大気汚染研究センターが共同で研究を進めている。 初年度の研究では、EANET の科学諮問委員会(SAC)が長年にわたってモニタリングしているPM2.5、PM10、オゾン等の大気汚染の公開データ(2013年、2015年)を主に用いて、中国、タイ、日本を中心に東アジアの都市の大気汚染データから排出の現状の分析・検証を行った。データ分析の結果については論文にまとめ、3回の国際学会で発表を行っている。本年度の研究では、共同研究者である山下研が所属するアジア大気汚染研究センターの朱美華研究員にも中国の排出源の特定及び原因物質の分析、中国国内の大気汚染規制を中心とした政策分析において参加してもらい論文を共同で執筆するなど、学会活動も積極的に行った。本年度は研究対象とした13 か国の排出量の分析をデータから検証するに留まり、研究対象とした全ての国の政策を詳細に分析、政策の国内での実行性について評価し、各国の政策を比較・検討する段階には至らなった。この理由は、中国を中心に自動車保有台数の急速な増加に伴う交通渋滞に起因する大気汚染が深刻であることから、中国における自動車の排ガス規制、ガソリンの質に関する規制について優先して研究を行ったからである。またこれらの政策については、欧州、米国、日本の政策との比較検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東アジアの現状を改善する一つの方法として、汚染源の迅速な特定及び対応、予防策強化、都市内部のインフォーマルセクターへの支援、環境悪化と健康リスクを軽減させる対応策等を講じるための国際協力枠組の構築が急務であると考えられることから本研究を進めている。この研究の中で重要となる汚染源の迅速な特定及び対応状況について、本年度内で予定した以上の成果を導き出すことができたと考えているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は、越境汚染等防止のための包括的な環境行動計画の策定と、資金協力枠組の構築に向けた研究を重点的に行う。その為に、1)東アジア地域の都市の大気汚染データから現状分析の結果を用いて将来予測の検証を行う。そして東アジア地域の中で今後さらに重点となる汚染地区の特定を行う。2)包括的越境汚染防止環境行動計画の策定と資金メカニズムの検討を行うために、各国・各都市における分析結果を総括し、環境協力によって環境影響予防と減災に導くための条件や要因を解明し、国際協調及び地方政府の協力の下に適切な環境管理を行うための行動計画、各国・各地域の汚染箇所と改善すべき優先箇所を特定するために情報を共有し、技術協力・資金援助をどこで受けるべきか、環境取組の促進と支援体制の構築を図り、各国の国内法・制度の改革・整備を促進させることが鍵となるため、さらに汚染の原因の特定、削減すべき汚濁負荷量の決定、環境改善計画の策定に資するデータ分析を行っていく。
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Causes of Carryover |
海外でのヒアリング調査及び学会発表にかかる1回分の旅費等を予定していたが、他の業務を優先させた関係で海外出張を見送ったことにより、予定していた支出がなくなったので本年度に直接経費の一部を繰越す結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、複数回の国内・海外での調査及び学会発表を計画しているので、計画的かつ適切な研究費の支出ができると考えている。 平成29 年度は、以下の日程で調査・研究を行う。①文献データ調査: (1)基礎調査:4~8 月、(2)データ分析:1~3 月、②検討会:2 回程度実施(5 月、12 月)〔開催場所:横浜市立大学等〕③報告書作成:平成29 年度の研究成果「中間報告書」を作成(10 部)
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