2016 Fiscal Year Research-status Report
なぜ連携が起きるのか?-環境保全活動における多主体連携の生起要因に関する研究-
Project/Area Number |
16K00677
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
井手 慎司 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50275161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 奈央子 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (30623847)
佐藤 祐一 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (30450878)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 連携 / 環境保全 / コーディネーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,環境保全を目的とするNPOの行政・事業者・他のNPOとの連携事例から,連携のタイプとタイプごとの特徴および連携生起要因を明らかにすることである。これまでの進捗状況として,2016年度は特に生物多様性保全を目的とした連携活動として,しが生物多様性大賞の受賞事例全7 件について文献調査及びヒアリング調査を実施した.その結果,連携が起こる要因として,以下の4つが考えられた. (1)活動に高い専門性を持たせるとともに,誰でも実施可能な方法を採用したことによって,活動への参加のしやすさや専門的な信頼性を持たせることができ,複数の企業が集まった事例があった.このことから,信頼関係に基づく連携が起こる要因として「専門家と連携したこと」が考えられる. (2)行政が信頼関係の構築のための役割を果たし,地域住民と連携している事例があった.行政が企業と地域住民との間に仲介役として入ったため,企業は地域住民からの信頼を得ることができた.このことからは,連携が起こる要因として「行政が仲介したこと」が考えられる. (3)民間助成団体が信頼関係の構築のための役割を果たした事例があった.同基金の制度やこれまでの実績が活動団体から企業への信頼に,また同基金に応募した団体に対して,書類選考や現地ヒアリングが行われるため,企業から団体への信頼に結びついた.このことから,連携が起こる要因として「従業員が保全活動に参加できるような制度を持っていたこと」が考えられる. (4)企業が元々持っていたネットワークが他団体との信頼関係の構築に役立っていた事例があった.仕事上のネットワーク,つまり企業の資源を活用したことから,連携が起こる要因として「自社の資源を活用したこと」が考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査項目を作成するためのヒアリング調査が終わっていないため.当初は地域によって,もしくは,活動分野によってNPOの活動に特徴があると考え,幅広い,地域と分野でヒアリング調査を実施する予定であった.そのため,全国へのヒアリング調査を実施する時間を多くとることができず,調査が完了していない状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
NPO活動の地域性についてはそれほど大差ないと考え,様々な分野の活動における連携事例について把握することを重点的に実施する.そのため,今後は近畿地方の連携活動を中心に情報収集し,その他の地方についてはヒアリング件数を減らす.その結果を踏まえてアンケート調査項目を設定する.
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Causes of Carryover |
学生の卒業研究と関連させたため作業のための人件費がかかっていない.また,調査補助をできる人材が限られているため,作業分担できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒアリング調査補助者を増やし人件費として使用する.また,国際学会発表のために旅費として使用する.
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Research Products
(1 results)