2016 Fiscal Year Research-status Report
内陸部からの海洋ごみ発生抑制に向けた政策課題の研究
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16K00690
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
原田 禎夫 大阪商業大学, 経済学部, 准教授 (80411461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海洋ごみ / 河川ごみ / 漂着ごみ / 流域連携 / コモンズ / 市民参加型調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる2016年度は、次年度以降に計画している住民アンケート調査をはじめとした定量的分析の実施に向けて積極的に事例調査を実施し、情報を収集することにつとめた。 アメリカ・ニューヨーク市においては、地元NPOとの連携による公立小学校における海ごみ教育の実態について、授業の見学や関係者へのインタビューを実施した。また、インターネットを活用した市民参加型のごみ調査と清掃活動を全国的に展開し、世界的なキャンペーンへと広げつつあるエストニアのNGOの取り組みや、同国における廃棄物行政、とくに経済的インセンティブを活用した廃棄物の発生抑制の観点から飲料容器デポジット制度の実態について、関係者への聞き取り調査と資料収集に取り組んだ。 国内においては、北海道の網走川流域における農業者と漁業者が連携した、環境配慮型の農業や漁業者の取り組みを相互に応援し認証する制度の実態を調査するとともに、新たに始まった流域の一斉清掃活動について調査することができた。 また、海洋ごみの主要な流出源である河川におけるごみの実態調査として、淀川(大阪府)や保津川(京都府)を中心に定期的なごみの組成調査を実施するとともに、冠島(京都府)においてペットボトルを指標として用いた流出国の推定に取り組んだ。この冠島における調査の成果については、「水資源・環境研究」(水資源・環境学会)において発表する(受理済)。 なお、一連の取り組みをもとに得られた知見を、今年度はInternational Association for the study of commons 2017年大会で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実地調査を順調に進め、聞き取り調査をはじめとした資料収集も予定通り進んでいる。また、2年目以降のアンケート調査の実施に向けた研究環境の整備も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋ごみをめぐる研究は世界的にも大きく進展しつつあるが、その一方でごみの発生抑制にむけた社会的課題の解決に向けた研究、特に地域レベルでの政策立案に向けた基礎的なデータ分析などはまだ大きくは進んでいない。本研究ではこうした問題意識から、内陸部や沿岸部での住民アンケート調査を実施し、海洋ごみをめぐる住民意識にどのような差異があるのかを明らかにすることを主たる目標としているが、今年度はその実施に向けて、自治体など関係機関との協議を慎重にすすめ、滞りなく調査が実施できるように進める。
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Causes of Carryover |
聞き取り調査(沖縄県石垣市役所)の実施を前年度中に実施する予定であったが、日程の再調整が必要となったため、次年度に実施することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度に、同市への聞き取り調査を実施予定である。
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