2016 Fiscal Year Research-status Report
低炭素社会に向けた物流・ロジスティクスに関する研究
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16K00693
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
近江 貴治 中村学園大学, 流通科学部, 准教授 (50613832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 文和 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (70113644)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 温暖化対策 / サプライチェーン / ロジスティクス / 省エネ法 / 貨物輸送 / 低炭素社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
物流分野における国内外の取組み、政策に関する情報を収集し、その一部は評価・考察を加えて学会報告等を実施した。併せて、これまでの国内物流業界とビジネスに係る動向、サプライチェーンにおけるCSRの取組みとその評価やディスクロージャー等に関する資料を収集しつつ、EUを中心とした関連研究をサーベイした。また、EUの関連分野の研究機関を訪問し、欧州を中心とした研究・業界動向の情報を収集するとともに、日本の政策や業界動向についても意見を聴取した。 物流における環境対策は、欧米を中心にCSRのみならず新ビジネスの創出やリスクマネジメントの視点からも積極的に取組まれており、そこにインド、中国なども歩調を揃えつつあること、また、日本国内の取組み、政策は大きく立ち遅れていることが明らかとなった。一方で、物流のユーザーである荷主に対する具体的な規制を行っているのは日本のみであり、サプライチェーンとして取組む上での先進事例として位置づけられることが把握できた。 しかしながら、増大する貨物量の抑制や、大幅に排出削減を達成する技術について、見通しが立っていないことも各国共通の認識であることも確認し、官民双方での国際連携を図り方向性を共有する重要性をEU研究者らと協議した。省エネ法や自動車排出ガス規制など、日本の規制的政策手法は海外でも注目を集めているものの、政策文書等が英文で公開されていないため、先進事例として国際的に取り上げられていないことも明らかとなった。 グローバル化するサプライチェーンの対策を検討する上では、研究成果を含めた日本からの情報発信が必要であり、引き続き情報収集と並行して海外研究者、政策担当者とのネットワークを開拓し、日本の政策・取組みが国際的に歩調を揃えられるよう、研究内容・成果においても意識する必要性が把握されたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EUおよびアメリカの研究成果や政策文書等を中心に情報収集を試みたが、多くは出版物やインターネットによって公表されており、おおむね順調に進展している。それらに基づいてEUの研究者を訪問し、ヒアリング調査と併せ情報交換を実施したところ、当該分野における日本の研究者は珍しく、日本の情報に対するニーズも非常に高いようで、先方より引き続き連携を図りたいとの申し出を受けている。 よって、本研究における最大の懸念材料であった欧米でのネットワークの確保に関しては、ほぼ問題が払拭されたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、アメリカの現地調査を試みるほか、依頼されたドイツの大学院での講義を行う予定であり、併せてEU研究者、業界より情報収集を継続していく。当該分野での国際研究のチームもあるようなので、そちらとのネットワーク確立も図っていく。 また、環境経済学・政策論の理論的研究のサーベイを進め、最終年度に向けた理論的枠組みの構築も行う予定である。
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Causes of Carryover |
調査出張を年度末に実施し、その精算が翌年度へ繰り越しとなったため。未精算を含むと次年度使用額はほとんどなくなる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記旅費精算金およびその残額を次年度支出として計上する。
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Research Products
(6 results)