2017 Fiscal Year Research-status Report
市民ネットワーク活動への参加型評価手法の拡張についての試み
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16K00694
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
蒲原 新一 長崎総合科学大学, 総合情報学部, 教授 (60269090)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 市民参加 / 市民ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次に示すフィールドにおける実践課題とその実践を通じた評価方法の確立によって構成されている。実践課題としては、長崎県大村市の地域資源を活用した大村バイオマスタウンの形成へ向けて、町内会などの組織を通じた市民や廃食油を排出する事業者を対象とした廃食油の回収・資源化・活用コミュニケーションネットワークを構築する。そして、この地域コミュニケーションネットワ ークの構築過程において、持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development; ESD)プログラムを用いた市民参加型活動を実践するとともに、参画する市民および事業者の意識の変化や行動の変容についてを市民参加型による評価方法(Most Significant Change;MSC)を用いた測定をおこなう。また、全体としての包括的な評価方法である従来のMSCを評価対象がネットワ ーク型の活動を実践している場合へ適用するためのMSCへと拡張を試みるものである。 本年度は、地域の廃食油の回収・資源化(廃食油からバイオディーゼルフューエル(BDF)を製造)の過程を実験学習するための資機材を用意し、化学実験環境の教材を準備した。また、地域社会における環境課題の解決やそのための活動を推進していくためには、地域の多様な主体(市民・事業者・行政)の参加とつながりづくりが必要不可欠であるとの考えから、地球温暖化対策活動に取り組む市民ネットワークを対象として、ネットワークの基盤を構成する活動団体の中核的なネットワークを支える信頼や社会参加の実態や役割について調査した。その結果をもとに、ネットワークに参加する活動団体間の情報交換・共有がネットワークや参加団体相互の信頼を醸成していることについて整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネットワークの構成・維持に関する調査は進んでいるが、廃食油の回収・資源化のための教材の完成が夏休みに間に合わなく、実験学習を進めるまでにいかなかった。しかし、市民ネットワークによる環境活動を対象としたネットワークの維持に関するアンケート調査のまとめなどを進めることはできた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて、地域の廃油回収ネットワークの最終的な確立と、市民ネットワークの構築・維持に必要とされる情報交換・共有の過程を組み込んだMost Significant Change(MSC)によって、ネットワーク型の活動を実践している場合における参画する市民および事業者の意識の変化や行動の変容をネットワーク拡張型MSCによって表すことができるようにしていきたい。 廃食油の回収・資源化のための教材を用いた教育は対象を絞り早期に実施したい。また、廃食油回収にかかわるネットワークを構成する関係者についても見直し、データ収集について適切な負荷で行えるように調整し進めていく。
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Causes of Carryover |
物品費は映像投影装置を購入していないため、データ分析・表示に必要な機材を購入し、研究遂行環境の整備を行う。旅費に関しては、関係者とのミーティングに要した交通費の計上をしなかったためであり、費用申請するようにしたい。
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