2018 Fiscal Year Research-status Report
市民ネットワーク活動への参加型評価手法の拡張についての試み
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16K00694
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
蒲原 新一 長崎総合科学大学, 総合情報学部, 教授 (60269090)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | ESD / 協働 / 市民参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域の持続可能な開発が進められていく中で、行政による施策の計画・実行だけでなく、市民やグループが自分たちのこととして開発に参画していくことが重要である。このような市民やグループらの活動が展開されていく中では関係者間のコミュニケーションネットワークの構築(展開)過程が存在する。本研究では、持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development; ESD)プログラムを用いた市民参加型活動を実践あるいはモニタリングするとともに、参画する市民および事業者の意識の変化や行動の変容についてMost Significant Change(MSC)を用いた市民参加型による評価方法を用いた測定をおこなう。 本年度は、日本(長崎市)における市民環境活動ネットワークと比較していくため、海外の地域における活動を対象とした評価に向けて、インドネシア共和国内の2つの地域でフィールドワークを実施した。この調査では対象地域での活動についてもモニタリングと関係者らへのヒアリングを行った。また、今後のアンケート調査へ向けた研究の趣旨の説明と意見交換を行い、信頼関係の構築を重視した。 ジャカルタ首都特別州南ジャカルタ市Lenteng Agung地域の第9自治会では、ごみの分別活動を中心とした環境美化活動及びそれらを活用したエコツーリズムの開発を目指している。この地域におけるごみの分別状況やごみの発生量を調査した。パプア州Wamena県では市民力を活用した持続可能な社会づくりに取り組み始めた。これまでの行政主体による形から各地域の資源や市民の技術を活用した社会づくりへと変化しようとしている。各地域(村)を回り、それぞれの地域での取り組みを視察し、新たな形での地域開発に取り組む行政関係者との情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年度は副学長を拝命したため、業務の関係上大学を離れにくい用件などが多くありフィールド調査を進めるためなどのまとまった時間を確保することが難しかった。フィールド対象地域は海外でもあったため、十分な訪問計画を立てることができなかった。また、フィールド調査地域は、当初計画していたインドネシア共和国ジャカルタ首都特別州内の地域から同国パプア州ワメナ県内の地域において行政と市民の協働による地域開発計画が進められようとしているため、こちらに変更した。 現地においてアンケート調査やヒアリング調査を進めるためには、関係市民や行政関係者らとの信頼関係を築くことも重要なことと考えており、価値あるデータを取得していくためにも慎重に進める必要があった。年度終わりに現地を訪問することはできたので、現地関係者に対して研究の趣旨説明と関係の構築まではできたと考えている。次年度には、アンケート調査等によるデータを収集・整理し、成果をまとめたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの地域・都市開発の手法として行政からの指導を柱とした進め方から、市民の力や経験を活かした行政と市民の協働による地域開発へ移行していく動きが起きている地域(インドネシア共和国パプア州ワメナ県)がある。この地域を調査フィールドとして、地域開発へ参加する市民・グループやそれらのネットワーク意識と、行政組織の対応や中間組織の動きなどを継続してモニタリングしていく。これまで、現地を訪問するとともに市民ネットワークの活動を視察し、行政・中間組織・市民・グループとの意見交換を進める中で本研究の趣旨を説明し、今後のアンケート調査やヒアリング調査に対する理解を得るとともに信頼関係を構築いてきている。 今後はアンケートやヒアリング調査を実施し、個々に活動・行動している市民のネットワーク形成の把握をはじめとして、どのレベルの参加が得られているのか評価をしていきたい。そして、参加型評価手法が市民ネットワーク活動へ展開可能か合わせて検討する。
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Causes of Carryover |
研究課題が半年遅れて採択となったこともあり研究の遂行が全体的に遅れている。 また、研究フィールドに海外地域を含めているが、平成30年4月より副学長(募集及び就職)を拝命したことにより業務の関係上大学を離れられない用件もあり、十分な現地訪問計画を立てられなかった。3月に現地を訪問するため、情報整理の時間を必要とする。
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