2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K00696
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Research Institution | Sanyo Gakuen University |
Principal Investigator |
西村 武司 山陽学園大学, 地域マネジメント学部, 准教授 (80574029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 外来生物法 / 特定外来生物 / マルハナバチ / トマト生産者 / 逃亡防止 / 相互モニタリング / 生態系サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,セイヨウオオマルハナバチの逃亡防止に向けた相互モニタリングに関するトマト生産者の意識について,北海道と熊本県での調査結果をもとに実証分析を行った。分析結果より,生態系に対する本種の影響に強い関心を持つ生産者や,本種の逃亡防止策の取り組み状況について生産者間に差があると考える生産者や,生産部会に頻繁に参加する生産者ほど,相互モニタリングが実行可能で,逃亡する本種の個体数がそれによって減ると考えやすいことが明らかになった。また,生態系に対する本種の影響に関心を持つ生産者ほど,相互モニタリングによって逃亡防止に積極的な生産者の社会的評価が高まると考えやすいことがわかった。一方,本種の逃亡防止に対する自分自身の取り組みが消極的だと考える生産者ほど,相互モニタリングが行われても生産者間で逃亡防止策に関する情報交換がためらわれると考えやすいことも明らかになった。 続いて,トマト生産者にとってのマルハナバチの価値について検討した。花粉媒介昆虫が農業にもたらす生態系サービスを評価した先行研究はいくつか存在するものの,これらの研究では,送粉サービスの代替費用として,送粉サービスの喪失分をミツバチのレンタルで置き換える場合にかかる費用が用いられ,トマトやナス等,花蜜を分泌しない作目に対しても同様に扱われることから,現実的ではない。そこで,花粉媒介昆虫の送粉機能を代替する手段としてホルモン剤処理に注目し,トマト施設栽培における花粉媒介昆虫がトマト生産にとって,どの程度の価値があるかを明らかにした。 さらに,トマトに対する消費者評価について検討するためのアンケート調査を実施し,次年度の分析に向けたデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,これまでに実施した調査結果の整理と分析を行ったものの,研究発表を十分に行うことができなかった。このため,当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度までに実施した調査結果の整理とデータ分析を行うことにより,研究成果を口頭報告および査読付き学術論文として発表する。
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Causes of Carryover |
本年度は,研究代表者の研究以外の業務を優先したため,本研究に十分な時間を割くことができなかった。このため,研究発表等を計画通り行うことができず,次年度使用額が生じた。 次年度は,主に研究成果の発表に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)